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スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やす

医療・健康・介護のコラム

肘の脱臼は、整復されればいいわけではない

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 それでは、Mさんの経過です。

 医療機関を受診し、単純X線で骨折がないこと、MRIで靭帯が損傷していることが確認されました。手術などを行わない保存加療を選択し、患部の不安定性が残ってしまうことでパフォーマンスへの影響が続く場合には、手術の選択肢を考慮するという方針になりました。3週間、肘を動かさないよう、シーネ(副子)固定を行ったのち、理学療法士の指導で可動域訓練を開始しました。幸いにも不安定な感覚は残らずに可動域も回復し、痛みの訴えもなかったことで、柔道に復帰することができました。

 肘の脱臼は頻度として高くはありません。肘を伸ばしたまま手をつき、その手に体重が乗ることで生じます。この時、脱臼ではなく手関節や肘周囲の骨折を生じる可能性もあります。不意に手をついてしまう場面もありますが、しっかりと受け身の姿勢で倒れれば防げます。 頭頚(とうけい) 部外傷を防ぐ意味でも受け身の姿勢はとても大切です。(大関信武 整形外科医)

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 本文のイラストや写真の一部は、「スポーツ医学検定公式テキスト」(東洋館出版社)より引用しています。スポーツに関わる様々な人からスポーツのけがに対する考えを掘り起こし、多様な視点でスポーツ医学や安全について考えるnoteもぜひご覧ください( スポーツを考えるnote~Presented by スポーツ医学検定|note )。

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大関 信武(おおぜき のぶたけ)

 整形外科専門医・博士(医学)、読売巨人軍チームドクター、日本スポーツ医学検定機構代表理事、日本スポーツ協会公認スポーツドクター

 1976年大阪府生まれ、2002年滋賀医科大学卒業、14年横浜市立大学大学院修了。15年より東京医科歯科大学勤務。野球、空手、ラグビーを経験。スポーツ指導者などへのスポーツ医学知識の普及を目指して「スポーツ医学検定」(春、秋)を運営している。東京2020オリンピック・パラリンピックでは選手村総合診療所整形外科ドクター。

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