Dr.イワケンの「感染症のリアル」
医療・健康・介護のコラム
ゴールポストを動かした? 「無症状感染者は6日経過 2回のPCR検査陰性で隔離解除」は正しいのか
アスリートをかえって縛ってしまう可能性
まあ、こう考えてみると「無症状感染者の多くは7日以内にPCR陰性化しないのだから、このようなルールはあってもなくても変わんないじゃん」という発想もでてきます。が、ぼくは逆に、このようなヘンテコなルールのためにむしろアスリートが困ってしまうのではないかと危惧しています。
先に説明したとおり、無症状感染者は10日経過すれば他者への感染性は失い、隔離を必要とせず、そして出場できるようになります。しかしPCR検査を重ねて「それ」を出場の基準にしてしまえば、「死んだウイルス」の遺伝子をひっかけてPCR検査が陽性になり続けるアスリートは10日を過ぎても隔離解除できず、試合にも出られないことを意味しているからです。
アスリートを助けようと思って組織委員会は今回ルールを変えちゃったのだと思いますが、むしろ裏目に出ないかどうかが心配です。
濃厚接触者の扱いも7月から変更
同様に、組織委員会は「濃厚接触者」の扱いも7月になって変えています。
従来、濃厚接触者も14日間の隔離が必要と考えられてきました。医療従事者などでも曝露(ばくろ)の疑いがあれば、14日間自宅待機となっていたのです。例外は認められません。
「俺は、明日外来があるんだ」とか「俺がいないとこのオペは難しいんだ」とか、苦情、難癖、場合によっては脅しまがいのクレームもありますが、ウイルスは相手がどういう人物かを一切、斟酌(しんしゃく)しないのです。忖度(そんたく)、斟酌するのは人間だけなのです。
が、丸川珠代五輪相の発表によると、試合直前のPCR検査が陰性であれば濃厚接触者も試合に出場できることになってしまいました。
この恩恵を受けたのが、日本代表男子と試合をしたサッカー南アフリカ代表です。感染者と濃厚接触者が多発し、試合開催も危ぶまれたなかで、PCR検査陰性を根拠に出場が可能となったのです。
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