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Dr.イワケンの「感染症のリアル」

医療・健康・介護のコラム

ゴールポストを動かした? 「無症状感染者は6日経過 2回のPCR検査陰性で隔離解除」は正しいのか

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一方、東京五輪・パラリンピックは独自基準

 で、オリンピックです。

  7月26日の報道 によると、東京五輪・パラリンピック組織委員会は、新型コロナ無症状感染者は検体採取から6日間隔離し、その後PCR検査が2回陰性であれば、退院と試合出場が可能になるという見解を明らかにしました。

 これは厚生労働省の基準に基づくということで、ぼくはこの報道を聞いてとてもびっくりしたのでした。

  確かに調べてみると、厚労省は無症状感染者の隔離解除基準に「6日経過、2回のPCR検査陰性」というものを設けています。

 が、現実には、現在無症状の感染者は入院しなくても自宅待機になるのが普通ですし、自宅待機が増えると何度もPCR検査をするのも難しいため、臨床現場ではほとんど利用していないものだと思っていました。というか、これは アメリカのCDC(疾病対策センター)ヨーロッパCDC も採用していない基準であり、よってブスケツは10日間試合に出られなかったのです。

「ダイヤモンド・プリンセス号の研究を参考に」と説明

 厚労省は「ダイヤモンド・プリンセス号の研究を参考にして」と説明しています。 しかし、ダイヤモンド・プリンセス号の乗員、乗客は(不完全ながら)隔離の状態にいたのであり、PCR(ウイルス量)の推移は観察できても、「他人への感染性」は吟味できないはずなのです。

 日本だけがこのような隔離解除基準を採用しているのですが、本当に信用できる知見といえるかは、大いに疑わしいものです。

  そもそも、PCRはなかなか陰性化しないのです。 死んだウイルスの遺伝子もひっかけてしまうからです。昨年、まだ感染状況に余裕があって軽症、無症状の感染者が入院していたときも、PCRがなかなか陰性化しないので退院させられずに、ぼくらは困りに困ったのでした。

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岩田健太郎(いわた・けんたろう)

神戸大学教授

1971年島根県生まれ。島根医科大学卒業。内科、感染症、漢方など国内外の専門医資格を持つ。ロンドン大学修士(感染症学)、博士(医学)。沖縄県立中部病院、ニューヨーク市セントルークス・ルーズベルト病院、同市ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院(千葉県)を経て、2008年から現職。一般向け著書に「医学部に行きたいあなた、医学生のあなた、そしてその親が読むべき勉強の方法」(中外医学社)「感染症医が教える性の話」(ちくまプリマー新書)「ワクチンは怖くない」(光文社)「99.9%が誤用の抗生物質」(光文社新書)「食べ物のことはからだに訊け!」(ちくま新書)など。日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパートでもある。

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