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Dr.イワケンの「感染症のリアル」

医療・健康・介護のコラム

ゴールポストを動かした? 「無症状感染者は6日経過 2回のPCR検査陰性で隔離解除」は正しいのか

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10日間隔離後にユーロ2020に復帰したブスケツ

ゴールポストを動かした? 「無症状感染者は6日経過 2回のPCR検査陰性で隔離解除」は正しいのか

 手前勝手な理由でルールを突然変更し、自分に都合の良いように仕向けることを、俗に「ゴールポストを動かす」なんて言います。サッカーやハンドボールなどの球技にはゴールがありますが、「ゴールポストを恣意(しい)的に動かすのはご法度ですよ」という意味です。今回は、そんな話。

 セルジオ・ブスケツが新型コロナウイルスのPCR検査陽性になった、と聞いたときにはびっくりしました。

 ブスケツはサッカーのスペイン代表キャプテンで、スペインの強豪バルセロナのミッドフィルダーです。現在ヴィッセル神戸にいるアンドレス・イニエスタとカタールで監督をしているシャビ・エルナンデスとともに黄金の中盤を構成したことはサッカーファンなら誰でも知っています。

 ちょうどそのとき、ヨーロッパでは国別対抗のサッカー大会(ユーロ2020)が開催されようとしていました。感染者であるブスケツは初戦に出場できなくなったのでした。

 幸い、ブスケツの感染は無症状なままで、特にプレーの妨げになる後遺症もなかったようです。無症状の感染者は10日経てば感染性を失い、隔離状態から解除できます。ブスケツは追加のPCR検査も陰性となり(これの必要性は議論のあるところですが)、遅ればせながら大会に参加できたのでした。よかった、よかった。

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岩田健太郎(いわた・けんたろう)

神戸大学教授

1971年島根県生まれ。島根医科大学卒業。内科、感染症、漢方など国内外の専門医資格を持つ。ロンドン大学修士(感染症学)、博士(医学)。沖縄県立中部病院、ニューヨーク市セントルークス・ルーズベルト病院、同市ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院(千葉県)を経て、2008年から現職。一般向け著書に「医学部に行きたいあなた、医学生のあなた、そしてその親が読むべき勉強の方法」(中外医学社)「感染症医が教える性の話」(ちくまプリマー新書)「ワクチンは怖くない」(光文社)「99.9%が誤用の抗生物質」(光文社新書)「食べ物のことはからだに訊け!」(ちくま新書)など。日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパートでもある。

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