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ココロブルーに効く話 小山文彦

医療・健康・介護のコラム

【Track16】他人のイヤホンから漏れる音が激情を誘発。30代女性にみられた「怒り発作」と「月経前症候群」

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 喜怒哀楽――。それらの感情の背景には、たいてい、相応の原因(対象)があるものです。栄光を勝ち取れた喜びや、何か大事なものを失った悲しみ、世の中の不合理に向ける怒りなどはもちろん健康な心の動きです。しかし、人間には時折、「なぜそんなに怒り、高ぶるのか?」が客観的には理解できないほどの興奮状態(精神運動興奮)に陥ることがあり、そこには心の働きを逸脱させる別の原因があるものです。

夫の単身赴任が不安を誘発

【Track16】他人のイヤホンから漏れる音が激情を誘発。30代女性にみられた「怒り発作」と「月経困難症」

 ヨウコさん(36)は、夫と長男との3人家族。明るく社交的な性格で、幼少時から続けてきたピアノを生かし、街の音楽教室で講師を務めています。29歳時に長男を出産した直後に、不眠に悩むことがありましたが、その時には特に治療を受けず回復し、以後、特に健康上の問題はなく過ごしていました。

 昨年の冬のことです。次年度から、夫が東北地方へ単身赴任をすることが内々に決まった頃から、それまでに感じたことがなかったような不安を抱くようになりました。「夫が赴任先で病気になりはしないか」「大きな事故に巻き込まれたりはしないか」……。夫にも長男にも、心配し過ぎだと笑われました。しかし、当のヨウコさん自身にとってみれば深刻な心配で、だんだん食欲が落ち、夜も眠れない日が続くようになったため、夫に連れられてメンタルクリニックを受診しました。

 医師は「神経症性不眠」と診断し、抗不安薬「エチゾラム」と抗うつ作用のある「スルピリド」を処方しました。服薬するうちに、ヨウコさんの不眠と食欲不振は緩和されてきました。しかし、何かにつけて不安を抱きやすい「心配性」は、時折、波のようにやってきます。

 そして、だんだんとヨウコさん自身は、「生理前になると、不安といら立ちが強くなる」ことに気づき始めていました。

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小山 文彦(こやま・ふみひこ)

 東邦大学医療センター産業精神保健職場復帰支援センター長・教授。広島県出身。1991年、徳島大医学部卒。岡山大病院、独立行政法人労働者健康安全機構などを経て、2016年から現職。著書に「ココロブルーと脳ブルー 知っておきたい科学としてのメンタルヘルス」「精神科医の話の聴き方10のセオリー」などがある。19年にはシンガーソング・ライターとしてアルバム「Young At Heart!」を発表した。

 今年5月14日には、新型コロナの時代に伝えたいメッセージを込めた 新曲「リンゴの赤」 をリリースした。

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