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ココロブルーに効く話 小山文彦

医療・健康・介護のコラム

【Track16】他人のイヤホンから漏れる音が激情を誘発。30代女性にみられた「怒り発作」と「月経前症候群」

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同室の入院患者のイヤホンから漏れる音で

 ところが、ヨウコさんが入院して、10日目の夕刻のことでした。

【Track16】他人のイヤホンから漏れる音が激情を誘発。30代女性にみられた「怒り発作」と「月経困難症」

 「先生!ヨウコさんが、たいへん!……」

 看護師とともに、病室を訪れると、ベッドの回りの床には、ちぎれた新聞紙や雑誌の断片が散らばっていて、ヨウコさんは、窓際で地団駄を踏んでいるのです。

 「シャカシャカ、シャカシャカ、耳障りなのよ!」

 その時の私の正直な印象では、それまでのヨウコさんとは一変しており、まるで「泣いた赤鬼」のような形相でした。

 面接室に移ってもらい、ヨウコさんに怒っている理由を尋ねると、原因はマキさんのイヤホンから漏れる音だったとのことでした。それが耳に障ったらしく、それとなく注意はしても止まらなかったようで、それが突然の怒りを引き起こしたようです。しばらくの間、ヨウコさんは、無言で下を向いたまま、肩で大きく息をしていましたが、だんだんと落ち着きを取り戻してきました。

 そこに、マキさんが、面接室をノックして、扉を開けて顔をのぞかせながら、「ヨウコさん、ごめんなさい、ごめんなさい……」と小声で話すと、2人は、また泣き始めてしまいました。

 私は2人をなだめながら、頭の中で、予想できなかったきっかけでこれほどの発作的な怒り、興奮を引き起こすPMDDに対する、次の手立てを考えていました。マキさんを看護師が部屋に連れ戻し、ヨウコさんと2人になった後、「次の生理前が心配」と不安になっている彼女のつらさを、一緒に受け止めようと努めました。

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小山 文彦(こやま・ふみひこ)

 東邦大学医療センター産業精神保健職場復帰支援センター長・教授。広島県出身。1991年、徳島大医学部卒。岡山大病院、独立行政法人労働者健康安全機構などを経て、2016年から現職。著書に「ココロブルーと脳ブルー 知っておきたい科学としてのメンタルヘルス」「精神科医の話の聴き方10のセオリー」などがある。19年にはシンガーソング・ライターとしてアルバム「Young At Heart!」を発表した。

 2021年5月には、新型コロナの時代に伝えたいメッセージを込めた 新曲「リンゴの赤」 をリリースした。

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