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左右どちらかの物に気づかない、ぶつかる…脳卒中の後遺症「半側空間無視」 工夫とリハビリで改善

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半側空間無視…片側に注意向かない

 脳 梗塞こうそく や脳出血などの脳卒中になると、左右どちらか半分に注意が向かなくなる「 半側はんそく 空間無視」という後遺症が出ることがあります。目の前にある物などに気づかず、ぶつかることもあります。タッチパネル式のモニターなどを使ったリハビリを行う施設もあります。(利根川昌紀)

脳卒中の後遺症

 半側空間無視では、脳の損傷が起きた部位の反対側を認識しづらくなります。右側を損傷した患者によくみられ、4割程度の頻度で起こるとされています。

 患者は、片側の空間を無視しているかのように振る舞います。左側にある物にぶつかる、左を向くのが難しい――といった具合です。

工夫やリハビリ

半側空間無視…片側に注意向かない

 判定には、用紙に描かれた「線」の真ん中に印をつける、見本を見ながら花の絵を紙に描くといった検査をします。半側空間無視があると、線につけた印が片側に寄っていたり、花の絵が半分しか描けていなかったりします。

 国立精神・神経医療研究センター病院(東京都小平市)の身体リハビリテーション部長を務める水野勝広さんは、「半側空間無視がみられた場合、認識できていない空間に意識を向けてもらえるようにし、改善を図ります」と説明します。例えば、食事の際に片側のおかずだけ残していたら、気づいてもらえるよう周囲の人が声をかけます。車いすのブレーキの柄を長くして、目立たせるなどの工夫も必要です。

 左側の半側空間無視の患者には、物が右にずれて見える特殊な眼鏡をかけて行う「プリズム適応療法」もあります。台につけた印などの目標物を、台の下から指でさしてもらいます。最初は、実際より右側を指します。何度も繰り返すと、見える位置よりも左側を指す感覚をつかみ、正確に指し示せるようになります。左に注意を向けられるようにする狙いがあります。

半側空間無視…片側に注意向かない

 患者の視線を捉える装置や、タッチパネル式のモニターを活用したリハビリも実施されています。

 国立障害者リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市)では、これらの装置を使い、職場復帰を目指す患者のリハビリや就労訓練に取り組んでいます。

 4年前に脳出血を発症した東京都板橋区のパン職人、源 勇爾ゆうじ さん(55)も訓練を受けた一人です。モニターで色がついた丸いマークをタッチするなどの課題をこなします。視線の動きやタッチできなかったマークの位置、反応時間を記録し、脳のMRI(磁気共鳴画像)も活用して無視の症状を正確に把握します。

 マークの配置などは、患者の症状に合わせて変えていきます。源さんはリハビリを繰り返し、症状が改善していきました。ピザを作る訓練では、当初は左側だけ具材をのせ忘れていました。そうしたことも次第に減り、職場に復帰できました。源さんは「普段から左側に視野を広くとるよう意識しています」と言います。

 同センター研究所神経筋機能障害研究室長の河島 則天のりたか さんは「脳機能の障害は周囲にわかりにくく、理解を得にくいという現状があります。患者さんが感じるもどかしさや大変さを家族などがくみ取り、サポートしてあげてほしい」と話しています。

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