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大人の健康を考える「大人び」

医療・健康・介護のコラム

幸福長寿のすすめ(8)薬が増えがちな高齢者 組み合わせで健康被害も…5~6種類を超えたら医師に相談を

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  このシリーズでは、大阪大老年・総合内科学教授、楽木宏実さんに聞きます。(聞き手・山崎光祥)

幸福長寿のすすめ(8) 多種類の薬 組み合わせ注意

 高齢者は、持病と共に薬の種類が増えがちです。病気が多いから当然と思って処方のまま飲み続けていると、逆にその薬が健康被害を招くことがあります。こうした問題を「ポリファーマシー(多剤併用)」と呼びます。

 2014年の国の調査によると、薬局で1か月に5種類以上の薬を受け取った人の割合は、65~74歳で30%、75歳以上では42%でした。実際に血圧、コレステロール、血糖の薬、血液をさらさらにする薬、睡眠薬、鎮痛薬、胃薬といった組み合わせで服用する患者によく出会います。

 もちろん十数種類飲んでいる薬の全てが不可欠という患者はいます。一方で、5~6種類を超える薬を飲む人は、転倒するリスクが4種類以下の人と比べて倍増するという調査結果があります。年を取ると薬の効果が過大になりやすく、例えば、睡眠薬と向精神薬の飲み合わせのように、ふらつきなど悪い相互作用が表れることがあるからです。

 年齢や健康状態によって優先すべき薬やその量が変わることはよくあります。長期間服用する薬が5~6種類以上に増えた時などには、それぞれの薬が本当に必要か見直すことが大切です。

 薬局などで入手できる「お薬手帳」を使うと、分かりやすく薬を整理できます。サプリメントを飲んでいる人は、可能な範囲でそれらについても記入し、自分の健康状態をよく把握してくれている医師に相談するといいでしょう。

 特に複数の医療機関で処方を受けている人は要注意です。効能が重なる組み合わせがないか、目的が相反する薬が含まれていないかを精査してもらってください。

楽木宏実さん

【略歴】
 楽木 宏実(らくぎ・ひろみ)
 1984年、大阪大学医学部卒業。89ー90年、米国ハーバード大学、スタンフォード大学研究員。2004年、大阪大学大学院加齢医学助教授、07年から同老年・腎臓内科学教授。内科学講座の改組により15年10月から現職。

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