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Dr.高野の「腫瘍内科医になんでも聞いてみよう」

医療・健康・介護のコラム

私が通う病院には腫瘍内科医がいません。どうしたらいいですか?

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身近に腫瘍内科医がいる世の中にしたい

 がん薬物療法専門医の制度ができて、最初の専門医47人が認定されたのは、06年のことでした。腫瘍内科の必要性がマスメディアでも取り上げられ始めた頃で、「たったの47人しかいない腫瘍内科医」として、「四十七士」とも呼ばれました。私自身ががん薬物療法専門医となったのは翌07年ですが、そのとき認定されたのは79人。以来、毎年100人前後が新たに認定され、今年、1530人となったわけです。当初に比べれば、専門医の数もだいぶ増え、世の中での腫瘍内科の認知度も少しずつ高まってきましたが、まだまだ、日本中、津々浦々で身近な存在になっているとは言えない状況です。

 私は、日本臨床腫瘍学会で、専門医の集まりである「専門医部会」の初代部会長を務めていたこともあり、腫瘍内科を広め、浸透させ、日本中の患者さんの役に立つようにすることが一つの使命であると考えています。

 まずは、多くの方々に腫瘍内科の存在を知っていただき、その必要性を感じていただきたいというのが、私たちの願いです。そして、私たちとしては、多くの患者さんのご期待に応えられるように、本物の腫瘍内科医を育成していきたいと思っています。今は、数少ない腫瘍内科医を、病院同士で取り合うような状況が生まれていますが、これからは、腫瘍内科医の育成を競い合うような状況にしていく必要があると考えています。

 全国に「がん診療連携拠点病院」として指定された病院が405か所あり、「薬物療法に携わる専門的な知識及び技能を有する常勤の医師」が配置されていることが指定要件になっているのですが、実際のところ、がん薬物療法専門医が一人もいない「がん診療連携拠点病院」も多く存在しているのが現状です。身近なところに、気楽に相談できる腫瘍内科医が普通にいるような、そんな世の中にするために、私たちも努力していきますが、皆さんも機会があれば、腫瘍内科の必要性について訴えかけるなど、サポートしていただけるとありがたく思います。(高野利実 がん研有明病院乳腺内科部長)

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高野 利実 (たかの・としみ)

 がん研有明病院 乳腺内科部長
 1972年東京生まれ。98年、東京大学医学部卒業。腫瘍内科医を志し、同大付属病院で研修後、2000年より東京共済病院呼吸器科医員、02年より国立がんセンター中央病院内科レジデントとして経験を積んだ。05年に東京共済病院に戻り、「腫瘍内科」を開設。08年、帝京大学医学部付属病院腫瘍内科開設に伴い講師として赴任。10年、虎の門病院臨床腫瘍科に最年少部長として赴任し、「日本一の腫瘍内科」を目標に掲げた。10年間の虎の門時代は、様々ながんの薬物療法と緩和ケアを行い、幅広く臨床研究に取り組むとともに、多くの若手腫瘍内科医を育成した。20年には、がん研有明病院に乳腺内科部長として赴任し、新たなチャレンジを続けている。西日本がん研究機構(WJOG)乳腺委員長も務め、乳がんに関する全国規模の臨床試験や医師主導治験に取り組んでいる。著書に、かつてのヨミドクターの連載「がんと向き合う ~腫瘍内科医・高野利実の診察室~」をまとめた、「がんとともに、自分らしく生きる―希望をもって、がんと向き合う『HBM』のすすめ―」(きずな出版)がある。

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