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コロナワクチン義務化や陰性証明 フランスでは強引な対策に国民の反発も

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コロナワクチン義務化や陰性証明 フランスでは強引な対策に国民の反発も

 夏のバカンスを前に、フランスは大きなかじ取りの変更を余儀なくされている。

医療従事者は9月15日までに接種義務

 フランスのマクロン大統領は7月12日の会見で、医療従事者や高齢者施設従事者の新型コロナワクチン接種を義務化することを発表した。もし9月15日までにワクチン接種を受けてない場合、仕事ができなくなり、給与も支払われない恐れがあり、一部の医療従事者たちが国を相手取って、働く権利、給与の保証などの訴訟を起こす動きが出ている。

飲食店や公共交通機関では衛生パス提示

 また50人以上集まる美術館や映画館などの文化施設への入場や、病院や高齢者施設、スーパー、デパート、飛行機や電車、バスといった公共交通機関、カフェやレストランの12歳以上の利用には、衛生パス(Pass Sanitaire )の提示が求められる。

 この衛生パスとは、新型コロナワクチンの2回接種証明、もしくは陰性証明(48時間以内のPCR検査か抗体検査)のこと。ワクチン証明は、厚生省のサイトからQRコードをスマートフォンなどにダウンロードしておくことができる。これはEU共通のもので今後、旅行の際にも提出が求められる。PCR検査は、今までは全額フランスの健康保険「セキュリテソシアル」でカバーされていたが、医師の指示がない場合は費用が全額自己負担となる。

ワクチン未接種なら48時間以内の陰性証明が必要

 これからはカフェに入るにもスーパーに行くにも、ワクチン証明か、陰性証明が求められることになる。ということは、ワクチンをまだ接種していない人は、常に48時間以内の陰性証明を得る必要があるということだ。そのために毎回、PCR検査を自費で受けるというのは現実的ではない。

 マクロン大統領は、感染力が強い変異株「デルタ株」の感染拡大に伴い、夏のバカンス前にこうした強力な制約をかけることで、フランス国民にワクチン接種を強く促すことにした。実際、方針発表の翌日からワクチンセンターには接種予約が殺到している。

外出禁止と感染拡大の繰り返し この夏が勝負 

 私自身は、今までは医療従事者に奨励されているインフルエンザワクチンを1度接種したことがあるくらいで、ほぼノーワクチンで過ごしてきたので、当初は新型コロナワクチンも打たなくてもいいのではないか、くらいに思っていた。

 しかし、フランスでは、感染拡大によって外出禁止令が敷かれると状況が改善するものの、解除されて時間が経つとまた感染が拡大するという繰り返しが続いており、今回ばかりは私もすでにワクチンを2回接種した。フランスはこの夏が勝負で、今ここでコロナを封じ込めないと昨年秋のように、また厳しい外出禁止令が敷かれることになりかねない。

3回目の接種の可能性も

 マクロン大統領は、今年1月から2月にワクチンを接種して、秋ごろに抗体が弱まる可能性のある人には3回目の接種を行う可能性もあるとした。60歳以上でまだワクチン接種をしていない人には急いで接種するように呼びかけ、フランス国民の生活を守るためにはワクチン接種が急務であると力説した。

 9月以降は、中学生から大学生までを対象にワクチン接種キャンペーンが実施される。ワクチン接種が進んできても公共の場ではマスクは義務化されており、メトロの中などでマスクを外すと135ユーロの罰金が課される。

 今まで「ワクチンの義務化はない」としていたマクロン大統領が、それを翻し、強引な方針を打ち出したことで、ワクチン接種を望まない国民との対立も予想され、すでに全国各地で抗議デモが起きている。(古田深雪 パリ在住・医療通訳)

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