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医療・健康・介護のコラム

「争続」防ぐ遺言書のすすめ…健康診断のように定期的見直しを

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 東京都在住の70歳代の男性には、財産として3000万円相当の自宅と2000万円の金融資産があった。気がかりなのは長男と次男の不仲で、何も対策を講じなければ、自分が死んだ後に相続でもめそうだと感じ、遺言書をしたためた。

生前整理ゴールは遺言書…「争続」防ぐ効果 財産目録作成も

 遺言書では、近くに住んでいて、よく顔を出してくれる長男には自宅と数百万円を、次男には千数百万円を相続させることにした。

 男性の死後、遺言書があったおかげで財産を巡るトラブルは起きなかった。男性は生前、「遺言書によって、息子2人がもめなくて済むので安心だ」と話していたという。

 税理士法人チェスター代表の荒巻善宏さん(39)は、「この男性のような悩みを抱える人は多い。財産の生前整理のゴールは、遺言書の作成だ」と話す。

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 遺言書があれば、残された家族が財産の取り分を巡って争う事態の回避に役立つ。荒巻さんは「もしこのケースで遺言書がなかったとしたら、次男が2分の1の権利を主張してもめ、兄弟の仲がより悪くなる可能性があった」と指摘する。

 ただ、遺言書の作成にはルールがあり、ハードルが高いとためらってしまう人もいるだろう。そういう人は出来ることから始めるのがお薦めだ。

 例えば、預金通帳や不動産の権利証、生命保険の保険証券など、万が一の際に必要になりそうなものはわかりやすい場所にまとめておくと良い。保管場所が分かりにくいと、残された家族がタンスの引き出しを全て開けて探すような事態になりかねない。

 また、銀行の口座やクレジットカードを複数持っている人もいるだろう。そういう場合は、使っていない口座やクレジットカードはなるべく解約しておくことを心がけたい。

借金なども記載

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 自身が持っている財産を洗い出して「財産目録」を作成しておくのも良い。

 財産目録には、不動産や預貯金、有価証券やゴルフ場の会員権といったプラスの財産だけでなく、借金などマイナスの財産も記載する。財産の洗い出しを進める中で、「もめそうだ」とか「相続税がかかりそうだ」とか、気付くことが出てくるだろう。そうすれば対応策を専門家に相談するのも手だ。

 財産目録を作成した後に、預貯金や有価証券などの金額や価値が変わることもあるだろう。荒巻さんは「人間ドックや健康診断のように、定期的に見直して更新していくのが望ましい」と強調する。(小野健太郎)

自身が暮らしやすく 家族の負担軽減

「争続」防ぐ遺言書のすすめ…健康診断のように定期的見直しを

 財産の生前整理をする上での心構えなどについて、社会福祉士で終活ビジネスコンサルタントの吉川美津子さん(51)=写真=に聞いた。

◇ 

 財産の生前整理をする際には、「やるぞ」とあまり堅苦しく考えないことです。

 モノの生前整理で片付けたり整理整頓したりするのは、死後に残された家族が困らないようにという視点ももちろんありますが、自身が生きている間の生活を暮らしやすく出来るという側面もあります。財産の生前整理も同じことです。

「争続」防ぐ遺言書のすすめ…健康診断のように定期的見直しを

 それに、もしかしたら事故に遭ったり、介護が必要になったりするかもしれません。自分の財産の状況を把握しておけば、手元の財産からいくらくらいなら介護費用を払えるかを考えることもできます。そういう意味では、財産の生前整理は元気なうちにやっておいた方が良いでしょう。

 また、財産を巡るトラブル「争続」を防ぐ効果も期待できます。亡くなった人がたくさん残したブランド物のカバンを誰がもらうかでも、ちょっとしたいざこざが起きてしまうこともあります。生前整理の過程でどう分けていくかを考えていれば、争いごとを避けられるかもしれません。

 核家族化が進み、高齢の親とその子供が一緒に住んでおらず、親の日常生活の様子が分からないケースも多いでしょう。財産を整理しておくことは、万が一の時に、残された家族の手続きなどの負担を減らすことにもつながります。(談)

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