がんのサポーティブケア
がんやがん治療に伴う副作用が及ぼす痛みやつらさを和らげ、がんと闘う患者を支えるのが「がんのサポーティブケア(支持医療)」です。手術や放射線、薬物療法をはじめとする、がんを治すための医療と車の両輪の関係にあります。この連載では、がんに伴う痩せの悩みや、治療に伴う副作用、痛みや心のケアなど、がんのサポーティブケアが関わるテーマについて月替わりで専門家にインタビューし、研究の最前線や患者・家族らへのアドバイスについて伺います。
医療・健康・介護のコラム
がんのサバイバーシップとは 診断された時から亡くなるまで 中長期の合併症のフォローや就労支援も がん患者の日常を支える
オンラインも活用しながら コロナの終息を願って
――最後に、コロナ禍のせいで先の見通しの難しい状況ですが、活動への影響などはいかがでしょうか。
NPO活動への一番の影響は、直接交流する場が持てないことです。メールの会報やオンラインカフェ、それから公式サイトを充実させることで補っていますが、早く直接お会いしたいですね。この苦労はNPOだけではなく、患者さんが集まる病院内の「がんサロン」も同様でしょう。コロナ下でも新たながん患者さんは次々に生まれているわけですが、本来だったら頼りにできる先輩に会えないのはとても厳しいことだと思います。
――オンラインでこみいった話をするのは、難しい面もありそうですね。
実際に会えれば、ちょっと背中をさすってもらったり、泣いてもよかったり、みんなから離れて部屋のすみっこで二人きりで話を聞いたりとかできるわけです。ところが、オンラインだと、そういった人情の機微のようなものが伝わりにくくなるかもしれません。
がんサバネットの2月のキックオフイベントも当初はリアルでやる予定でした。ただ、オンラインだったことで全国各地からご参加いただけたのは良かったと思います。
オンラインには便利な面も、限界もありますので、今後は選択肢のひとつとして活用していければと思います。まずは早くコロナが終息して、正常な世の中に戻ってほしいと願っています。
・NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク
https://jcsurvivorship.net/
高橋都(たかはし・みやこ)氏
1984年、岩手医科大学医学部卒業。東京大学大学院医学系研究科(国際保健学)修了、同大講師を経て、2008年、独協医科大学医学部准教授(公衆衛生学)。2013年、国立がん研究センターがん対策情報センターがんサバイバーシップ支援部の初代部長に就任。退職後、2020年にNPO法人日本がんサバイバーシップネットワークを設立し代表理事を務めている。岩手医科大学客員教授、東京慈恵会医科大学客員教授(港区立がん在宅緩和支援ケアセンター「ういケアみなと」アドバイザー)。国立がん研究センター客員研究員。
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