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がんのサポーティブケア

医療・健康・介護のコラム

がんのサバイバーシップとは 診断された時から亡くなるまで 中長期の合併症のフォローや就労支援も がん患者の日常を支える

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がん体験者はがんの専門家として 学ぶ、楽しむ、発信する を活動の柱に

――NPO法人「日本がんサバイバーシップネットワーク(がんサバネット)」について教えてください。

 大学やナショナルセンターのような大きな組織で仕事ができるメリットを感じる一方で、一人ひとりの患者さんにもっと向き合いたいという気持ちが常にありました。国立がん研究センターでは研究職という立場だったので、医師として現場から離れている感じも強かったです。

 そこで、退職後はNPOという箱をつくって、いろんな方に入っていただき、一緒に力を蓄えていく、そんな活動をしたいと考えました。たとえば、専門家は医療者だけじゃない。がん経験を持つ方は、その貴重な経験を生かして何かできると思いました。

――活動の柱に「学ぶ」「楽しむ」「発信する」を掲げていらっしゃいますね。

 特に「楽しむ」部分を大切にしたいと思っています。コロナ禍の影響もあって、会員が交流するカフェは、まずオンラインで始めました。本好きの人たちによる仮想図書館や、旅好きの人たちが思い出の場所を紹介するギャラリーなどの企画も進行中です。

――「発信する」はどうですか?

 今、全国の地方自治体ががん患者さん向けに提供している助成金のリストづくりをしています。ウィッグ購入をはじめとして、さまざまな助成があります。完璧に網羅するのは大変なので、分かったところから白地図を埋めていく作戦です。行政担当の方々に向けても、「隣の自治体にはこんな助成があるのか」と参考にしていただけるかもしれません。

「あっぱれ」だと感じた夫のがん闘病に寄り添って

がんのサバイバーシップとは 診断された時から亡くなるまで 中長期の合併症のフォローや就労支援も がん患者の日常を支える

夫にがんが見つかり手術を受けた翌年、旅行に出かけた北海道で

――今年2月に開かれたがんサバネットのキックオフイベントでは、がんで亡くなられたご主人の闘病に寄り添った話もされていらっしゃいました。差し支えない範囲でお話しいただけますか。

 主人は胆管がんで、見つかった時にはすでにステージ4でした。手術は受けたのですが、がんは取り切れませんでした。正直、診断を受けた時には、1年もたないかもしれないと思ったんです。でも、結果的に4年4か月頑張りました。最期まで彼らしさを失わなかったのは、家族から見ても「あっぱれ」でした。がんになっても人生は続くことを、身をもって示してくれました。

――診断を受けた後、あちこち旅行にも出かけられたとのお話でした。

 大手術を終えて、がんが取り切れずに退院した時、本人も覚悟を決めたんだろうと思います。お互いに忙しかったため、人生の楽しみを後回しにしていた時期でもありました。残された時間を最大限楽しもうと、二人で旅行にもよく出かけました。

――最期まで闘病に寄り添われて、どんなお気持ちだったでしょうか。

 最期まで自然体でライフスタイルを変えずに過ごせたことが、とても良かったと思います。彼も私も、あまり先のことは考えず、少しだけ先を見ながら、自分自身に制限をかけ過ぎないよう心掛けました。そうすることで、結構それまでと変わらない日常生活を送れるものだというのが実感です。そして、医療者をはじめとする周囲の支えも大きかったです。

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がんのサポーティブケア

 がんやがん治療に伴う副作用が及ぼす痛みやつらさを和らげ、がんと闘う患者を支えるのが「がんのサポーティブケア(支持医療)」です。手術や放射線、薬物療法をはじめとする、がんを治すための医療と車の両輪の関係にあります。この連載では、がんに伴う痩せの悩みや、治療に伴う副作用、痛みや心のケアなど、がんのサポーティブケアが関わるテーマについて月替わりで専門家にインタビューし、研究の最前線や患者・家族らへのアドバイスについて伺います。

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