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がんのサポーティブケア

医療・健康・介護のコラム

がんのサバイバーシップとは 診断された時から亡くなるまで 中長期の合併症のフォローや就労支援も がん患者の日常を支える

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がん患者の就労 制度面での改善も

――「就労」も、がんサバイバーシップにおける重要なテーマですね。

 がん患者さんの就労の問題は、がん対策推進基本計画の第2期に初めて盛り込まれました。当時所属していた独協医大で厚労省の研究班(2010~12年)に応募したところ採択されました。とてもラッキーだったと思います。

――制度面でもだいぶ取り組みが進んだのでは。

 がん対策推進基本計画に盛り込まれたことが、やはり大きかったですね。患者さんはもちろん、企業の方々にも興味を持っていただくことができました。この領域の取り組みは医療現場が一番遅れているように思いますが……。

 産業医とがん治療医が患者さんの就労に関して情報交換をすることに診療報酬がついたことも、大きいと思います。2020年の改定でさらに使いやすくなり、情報共有や効果的な助言のあり方について検討が進んでいるところです。

――就労は、相談支援センターでも大切なテーマですね。

 はい。ただ、相談支援センターに紹介して終わりではなく、病院全体として患者さんの仕事面を支える仕組みづくりが必要だと思います。社会保険労務士やハローワークの両立支援コーディネーターなど、外部の就労専門家との連携なども進んできています。

「公民館カフェ」や全国各所で「ご当地カフェ」を開催

――国立がん研究センターに設けられたがんサバイバーシップ支援部ではどんなことに取り組まれたのですか。

 就労に関しては、さまざまな実態調査を行うとともに、その結果をもとにして、患者さん、企業関係者、医療者それぞれに向けたガイドブックを作成しました。

 ほかにも男性患者さんのアピアランスの悩み、長期フォローアップのための地域連携など、あらゆるテーマに取り組みました。中でも特にAYA世代(思春期、若年成人の世代)のがん体験には部をあげて多角的に取り組みました。

 若くしてがん体験を持つ場合の就職活動、恋愛や性体験など、手前みそですが、オリジナリティーの高い研究であったと思います。AYA世代に向けた療養支援サイトも公開しました。がんサバイバーシップ支援部は、研究活動を実際的な支援に結びつけていくことをとても大事にしていました。

――がん患者の「カフェ」も全国あちこちで開かれましたね。

 独協医大時代の「就労」研究班では、だれもが参加できる勉強会を都内で定期開催していました。患者さんから活発な質問が出て、非常に面白かったのです。そのような患者さんの声を聞く場を作りたいと思ったのですが、国立がん研究センターの建物だとちょっと入りにくいかもしれないと考え、近くの月島の公民館を借りて「公民館カフェ」を始めました。

 これが非常に好評で、患者さん、医療者、一般市民のざっくばらんな交流の場になっていきました。わざわざ遠方から来てくださる方もいて、それなら地方開催も考えようということになりました。「ご当地カフェ」と呼ばれるこの企画は、はじめは私が講演に出かけた場所で開きましたが、そのうち協力病院を公募するかたちになりました。「ご当地カフェ」をきっかけに、その後も交流の場を自主的に開催し続けている病院もあります。

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がんのサポーティブケア

 がんやがん治療に伴う副作用が及ぼす痛みやつらさを和らげ、がんと闘う患者を支えるのが「がんのサポーティブケア(支持医療)」です。手術や放射線、薬物療法をはじめとする、がんを治すための医療と車の両輪の関係にあります。この連載では、がんに伴う痩せの悩みや、治療に伴う副作用、痛みや心のケアなど、がんのサポーティブケアが関わるテーマについて月替わりで専門家にインタビューし、研究の最前線や患者・家族らへのアドバイスについて伺います。

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