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早退を責める同僚、渋る上司…要介護の母のワクチン接種 付き添いに職場の理解得られず

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 新型コロナウイルスワクチンの高齢者向け接種が始まって3か月がたちます。家族の接種に付き添った方もいらっしゃるでしょう。でも、大阪府在住の三好聡子さん(55)(仮名)はかなわなかったそうです。メールにこう書かれていました。

接種付き添い職場の理解は

ワクチンの接種会場に入る高齢者ら(大阪市内で)

 「私が付き添うことに、職場の理解が得られませんでした」

 電話で詳しく聞くと、小規模な事業所ならではの課題が浮かび上がりました。

 三好さんは、認知症で生活全般に介助が必要な「要介護度3」の母親(85)と2人暮らしです。体調の急変に備えるためにも、ワクチンの接種時には付き添いたいと考えていました。

 勤務先は10人ほどの小所帯。上司には、予約が取れたら当日は早退したいと伝え、了承を得ました。しかし、具体的な日程が決まると、同僚から「人が足りない」と言われ、「私なら当然、キャンセルする」と責められました。了承していたはずの上司も「福祉施設の人に送迎してもらえないか」と言い、本音では付き添いをやめてほしいのだと感じました。結局、自分が付いていくのは諦め、福祉施設の送迎サービスと介護ヘルパーを手配しました。

 2回の接種は6月中に無事、終わりましたが、三好さんは「社会全体で接種を進めようという雰囲気を感じていたので、予想外の反応にショックを受けました。でも、同じような職場は多いのでしょうね」とため息をつきます。

 ワクチン接種を加速させるため、政府は経済界に「ワクチン休暇」の導入を要請しています。これを受けて、企業側では、家族に付き添う場合にも有給休暇を取れるようにしたり、就業時間とみなしたりする動きが出ています。

 しかし、こうした取り組みは大企業が中心で、中小企業では対応が遅れがちのようです。三好さんの職場でも、「ワクチン休暇」はありませんでした。

 インターネット上で「ワクチン休暇」を紹介するコラムを書いている社会保険労務士の加藤知美さんは「小規模な事業所では、そもそも休暇制度が整っていなかったり、福利厚生の知識が豊富な人材が乏しかったりします。まずは行政や専門家に相談し、自社の現状を洗い出して、改善点を把握することから始めてほしい」と提案します。

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 支援態勢を整えている自治体もあります。例えば東京都は6月、希望する中小企業に社会保険労務士を無償で派遣し、ワクチン休暇の創設について助言する事業を始めました。人手不足の企業なら、高齢者や外国人の採用といった助言を受けることもできます。

 ただ、いくら休暇制度を作っても、職場での理解が広がらないと、活用は進みません。ワクチンはコロナ対策の切り札とされますが、副反応への不安を抱える人も多いでしょう。接種を受ける家族に付き添いたいという気持ちは、自然だと感じます。お互いを気遣って、気持ちよく休みが取れる。そんな職場環境作りが進んでほしいと思います。

今回の担当は

 南暁子(みなみ・あきこ) 防災や戦争が目下の取材テーマ。最近、看護休暇を取得して3歳の娘を予防接種に連れて行った。

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 〒530・8551(住所不要)読売新聞大阪本社社会部「言わせて」係

 iwasete@yomiuri.com

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