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母親の喫煙が児の喘鳴、喘息を惹起 エコチル調査

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 アレルギー疾患の有病率はここ数十年で上昇しているが、その要因は何か。富山大学小児科学講座の和田拓也氏らは、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のデータを用いて、母親の妊娠中の喫煙が及ぼす出生児の喘鳴および喘息への影響を検討。その結果、妊婦の喫煙は能動か受動かにかかわらず、児の喘鳴および喘息リスクを上昇させることが示されたと、Allergol Int( 2021年6月14日オンライン版 )に発表した。

母児9万210組のデータを解析

母親の喫煙が児の喘鳴、喘息を惹起 エコチル調査

(C)Adobe Stock ※画像はイメージです

 増加中のアレルギー疾患の有病率を遺伝的要因だけで説明することはできず、妊婦や乳幼児を取り巻くさまざまな環境要因の影響が考えられている。その1つに、喫煙が及ぼす喘鳴および喘息への影響がある。

 これまでの研究では、母親の妊娠中の喫煙が胎児の肺胞形成を遅延させ、出生後に肺機能障害が生じることが報告されている。また、2歳以下の小児を対象とした研究では、出産前後の母親の喫煙が喘鳴の発症リスクを高め、出産前の母親の喫煙が喘息の発症リスクを高めることが示されている。しかし、母親の喫煙への曝露時期や曝露状況が、出生児の喘鳴および喘息の発症リスクに及ぼす影響については明らかにされていない。

 そこで和田氏らは今回、エコチル調査に参加した母児9万210組を対象に、喫煙への曝露状況(〈1〉母親の妊娠中の能動喫煙〈2〉母親の妊娠中の受動喫煙〈3〉出生児の受動喫煙)と出生児の喘鳴および喘息の発症リスクとの関連を検討した。

妊娠中の能動喫煙は喘鳴、喘息のリスク

 母親の喫煙状況、妊娠中の母親の受動喫煙の頻度、出生児の受動喫煙状況(曝露の有無と場所)、出産年齢、妊娠前の母親のBMI、母親の身体活動、婚姻状況、母親の雇用状況、母親の学歴、母親の飲酒状況、母親のアレルギー歴、児の性、在胎週数、出産方法、出生体重、出生時の季節、出産歴、児の呼吸器感染症、児の異常、デイケア参加、ペット飼育、世帯年収を調整後した解析では、母親の妊娠中の能動喫煙と出生児の1歳時点での喘鳴の発症リスクとの間に有意な正相関が示された(傾向のP<0.0001)。喘息の発症リスクとの間にも同様の関連が認められた(傾向のP=0.0005)。

 また、妊娠初期に禁煙しても、出生児の1歳時点での喘鳴発症リスクは高まることが示された〔調整オッズ比(aOR)1.188、95%CI 1.109~1.272、vs.喫煙歴がない母親〕。

 和田氏らは「現時点では、妊娠中のどの時期での喫煙が胎児に影響を及ぼし、出生児の喘鳴や喘息の発症に関連するかについて統一見解は得られておらず、さらなる研究が必要だ」との考えを示した。

妊娠中の受動喫煙と喘鳴リスクに正相関

 次に、母親の妊娠中の受動喫煙の影響を検討。解析の結果、母親の妊娠中の受動喫煙頻度と出生児の1歳時点での喘鳴発症リスクは正相関していた(傾向のP<0.0001)。また、曝露頻度が毎日の場合には、喘息の発症リスクも上昇した(aOR 1.258、95%CI 1.075~1.473、vs.喫煙歴がない母親)。さらに、喫煙歴がない母親に限定した解析でも、同様の結果が得られた。

 和田氏らは「胎内での受動喫煙への頻繁な曝露は、出生児の喘鳴および喘息の発症につながる」と推察した。

生後1カ月時の受動喫煙は屋外でも喘鳴リスク

 最後に、受動喫煙の出生児への影響を検討した。生後1カ月時に屋内、屋外で受動喫煙への曝露があった児は、非曝露の児と比べ、1歳時点の喘鳴発症リスクがいずれも有意に上昇した(屋内:aOR 1.196、95%CI 1.040~1.375、屋外:同1.105、1.052~1.160、傾向のP<0.0001)。一方、喘息発症リスクとの関連は認められなかった。

 和田氏らは、今回の研究の限界として〈1〉喫煙状況や喘鳴の有無は自己記入式質問票によるものであり、実際の喫煙状況を正確に反映していない可能性〈2〉1歳までの喘鳴は喘息以外の健康状態と関連している可能性―を挙げた。その上で、「母親の妊娠中の喫煙や母児の受動喫煙が、児の喘鳴および喘息のリスクを高めることが示された」と結論。さらに「妊娠中の母親本人だけでなく、産後の母児に関わる全ての人に対し禁煙を推進する根拠となる」と強調している。(比企野綾子)

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