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森本昌宏「痛みの医学事典」

 頭痛、腰痛、膝の痛み……日々悩まされている症状はありませんか? 放っておけば、自分がつらいだけでなく、周囲の人まで憂鬱にしてしまいます。それだけでなく、痛みの根っこには、深刻な病が潜んでいることも。正しい知識で症状と向き合えるよう、痛み治療の専門家、森本昌宏さんがアドバイスします。

医療・健康・介護のコラム

指で「OKサイン」ができない…女性に多い痛みとしびれ「手根管症候群」 楽器や編み物が趣味の人も注意して

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内部の圧を下げる手術を行うケースも

 治療の原則は、手の使い過ぎに注意して、安静を保つことである。35%の方(特に若い方でファーレン徴候がない場合)はこの安静のみで改善するのだ。内服薬としては、非ステロイド性抗炎症薬の投与が一般的に行われているが、「日本ペインクリニック学会」によるガイドラインでは、神経障害による痛みに用いられているプレガバリン(商品名リリカ)、抗うつ薬の仲間であるデュロキセチン(同サインバルタ)、アミトリプチリン(同トリプタノール)の投与を推奨している。私の施設では、これらの薬剤とともに、手根管内への局所麻酔薬と副腎皮質ステロイド薬の注入を行っている。

 手関節装具による固定も有用である。手関節の固定については、米国ジャクソンビル海軍病院の医師が、「発症後3か月以内の固定がより有効」としている。なお、痛みが強い、母指球筋がやせている、血液透析を受けているといった場合、アミロイドーシス(アミロイドと呼ばれる異常たんぱく質が全身に沈着する)やガングリオン(内部にゼリー状の物質が詰まった 腫瘤(しゅりゅう) 。手足にできることが多い)、腫瘍が原因となっているケースなどでは、手根管開放術(内視鏡下の手術を含む)によって、高まっている内部の圧を下げる治療が選択されている。

 区別しておくべき病気としては、「 頸椎(けいつい) 症」(加齢による首の骨の変形)による腕へ向かう神経の圧迫をはじめとして、「糖尿病性ニューロパチー( 末梢(まっしょう) 神経障害)」「リウマチ性疾患」「 膠原(こうげん) 病」などがある。「ドゥ・ケルバン病」と呼ばれる 腱鞘(けんしょう) 炎では、手根管症候群と同様に手首の痛みを生じる。その場合、手首にある 橈骨茎(とうこつけい) 状突起部を押えると痛み、親指を伸ばしたり、開いたりすると痛みが強くなる。(森本昌宏 麻酔科医)

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森本 昌宏(もりもと・まさひろ)

 大阪なんばクリニック本部長・痛みの治療センター長。
 1989年、大阪医科大学大学院修了。医学博士。同大学講師などを経て、2010年、近畿大学医学部麻酔科教授。19年4月から現職。日本ペインクリニック学会専門医、名誉会員。日本東洋医学会指導医。著書に『ペインクリニックと東洋医学』『痛いところに手が届く本』ほか多数。現在、大阪市北区の祐斎堂森本クリニックでも診療中。

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