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楢戸ひかる「シニアライフの羅針盤」

医療・健康・介護のコラム

山ほどある請求漏れの悲劇…「病気」でも障害年金を受けられることがあります

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障害年金は、いくら受けられるの?

 では、障害年金は一体、いくら受けられるのでしょうか? 最も受給している人数の多い「障害基礎年金2級」であれば、月額約6万5000円です。障害基礎年金とは、国民年金に加入していた時に初診日がある場合が対象の障害年金。重度の障害基礎年金1級であれば、月額約8万円になります。

 厚生年金に加入しているサラリーマンなどの場合は、報酬に比例した障害厚生年金を受給できます。障害厚生年金の1級か2級を受けられる時には、障害基礎年金と合わせて受給できる仕組みです。障害厚生年金には3級もあり、報酬比例の年金だけなので、最低保証(令和3年度585,700円)があり、月額4万8000円くらいになります。

どんな人が受けられるの?

 最も気になるのは、「障害年金は、どの程度の状態だと受けられるの?」ということでしょう。「障害年金は、傷病により日常生活に支障をきたしている状態のときに受給することができます。原則として傷病名は関係なく、日常生活にどれだけ支障をきたしているかで判断されます。とてもザックリとした目安を言うなら、身体の障害であれば、1級はベッド周辺が活動範囲になっているような場合、2級は仕事をするのが難しい場合、3級は短時間勤務や軽作業なら可能な場合、と考えればいいでしょう。障害によっては当てはまらないケースもありますので、あくまでも目安とお考えください」(白石さん)

「社労士に依頼」も選択の一つ

 私が初めて障害年金専門の社労士さんにお会いしたのは、総合病院が主催するお金の勉強会の席でした。参加者(病気で経済的な困難を抱えた方たち)は、異口同音に「社会保険制度のことは全然知らなかった。もっと早くに知っていれば……」と、おっしゃっていました。日本には、いざという時に頼りになる社会保険制度がありますが、一般の方に情報が浸透していない印象です。一般の方が制度を詳しく知らないのは「複雑だから」です。障害年金を受給するためには、「書類審査」が行われます。「通院している病院にスペシャルなソーシャルワーカーがいた」とか、「年金事務所の職員が親身になってくれた」などラッキーな方もいるとは思いますが、社会保険関連の法律を知らない人が一人でこの審査に対応するには限界があると、私は感じます。

 社労士は、この複雑な制度の専門家として国に認められた職業です。障害年金請求の代行を社労士に頼むことができます。報酬が高い(年金月額の2~3か月分が相場)と言われることもありますが、初回の相談は無料であることも多いので、契約するかどうかは一度会ってみてから決めてもいいのでは?と、思います。(楢戸ひかる マネーライター)

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楢戸 ひかる(ならと・ひかる)

マネーライター
 1969年生まれ。大手商社に勤務後、90年代よりマネー記事を執筆。「誰もが安心してお金のことを学ぶ場」である「お金のリビング」を主宰。その入り口として、「ザックリ家計簿」ワークショップをオンラインにて開講中。詳しくはホームページ「主婦er」で。
 お金の記事だけでなく、「家族」や「暮らし」についてもコンテンツ更新中。

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