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認知症×発達障害 岡崎家のトリプルケア

医療・健康・介護のコラム

「通帳はどこ!?」母の遺骨にキレた夜、夢に現れたのは…怒濤の死後整理(上)

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通帳をどこにしまったの!? 遺骨にキレた夜、夢枕に立った母…怒濤の死後整理(上)

漫画・日野あかね

葬儀の後もてんてこ舞い

 母さんの家族葬は、新型コロナが猛威をふるう中、老人ホームに入所する父さんも出席がかない(施設のご協力に感謝)、一緒に母さんを見送ることができました。その後、ひと息つく暇もなく、母さんの介護保険や国民健康保険の資格喪失届などの提出に役所へ行ったり、生命保険の請求や携帯電話とクレジットカードの解約、遺産相続に関わる金融機関の手続き、税理士との打ち合わせなど、残された家族がやらなければならないことがたくさんあるのです。そのすべてを一人娘の私が行わなければなりません。

「父さんより長く生きる」断言していたのに…

 母さんが亡くなる前年、ファイナンシャルプランナー(FP)に、私が加入している生命保険などの見直しをしてもらった時に、両親の保険の見直しもお願いしていました。母さんの急激な衰弱ぶりを目の当たりにした私が、両親のお金に関することを何も知らないことに危機感を抱き、半ば強引に両親を巻き込んだのです。

 FPからは両親の資産運用や相続に関する提案も受けましたが、母さんは「それは私が父さんを見送ったあとでいい!」と、応じてくれませんでした。「私が父さんより先に逝くことは、絶対ない!」と、ずっと豪語していた母さんだけど……。あの時、FPの勧めに従っていれば、預金のある銀行名や所有不動産の管理のしかたなど、私が把握する機会になったはず(認知症の父さんは忘れてしまっていることが多い)。そうしたら、葬儀のあとに“ひと息”くらいはつけたのか!? 後悔しても、後の祭りです。

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認知症×発達障害 岡崎家のトリプルケア

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の日々を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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5月に母が同じ状況で亡くなりました。父の介護を23年間(48歳で脊髄損傷、四肢麻痺)続けた末に看取(みと)り、ちょうど3年8か月後に浴槽で倒れ、...

5月に母が同じ状況で亡くなりました。父の介護を23年間(48歳で脊髄損傷、四肢麻痺)続けた末に看取(みと)り、ちょうど3年8か月後に浴槽で倒れ、そのまま帰らぬ人となりました。私は遠方に住んでるため、第一発見者は兄で、文字通り刑事ドラマのような事情聴取(私にも電話での聞き取り)がありました。葬儀も新型コロナの影響で兄、私、私の娘の3人による家族葬でした。私よりも兄の方が大変なのですが、残された人たちは疲弊しますよね。しのんでる暇はないです。そのうえ、実家が田舎なので、容易に帰省できず、まだまだ先は長いです。私はたいして残すものはありませんが、遺言状を作成しようと思っています。杏里さんは私よりもっと大変そうですが、お互い頑張りましょう。

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