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医療・健康・介護のコラム

[女優 小松みゆきさん](下)「次回はいつに?」と言われて繰り返す顕微受精と移植……振り返って感じるのは不妊治療への怒り!

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子宮にポリープ、内膜炎も見つかった

[女優 小松みゆきさん](下)「次回はいつに?」と言われて繰り返す顕微受精と移植……振り返って感じるのは不妊治療への怒り!

――45歳の時にできた受精卵を移植したのは48歳の時ですね。どうして間隔が開いたのですか。

 気になることがあって、子宮の検査を受けました。移植はエコーの画像を見ながら行うのですが、3軒目の病院で、移植の時に先生が「卵がここから出てくるから見ていてくださいね。あれっ、なんかある」と言ったのを思い出したんです。その時はそれきりでしたが、この先生の言葉が引っかかっていて、最後の1個を移植する前に、子宮の中を調べようと思いました。

 子宮鏡という内視鏡で見てくれる医療機関をあっちこっちに電話をかけて調べました。大学病院だと2か月待ちと言われましたが、そんなに待てません。結局、不妊専門の医療機関で診てもらったら、移植する辺りに大きなポリープが見つかりました。それに子宮の内部は肌荒れみたいに傷んでいて、子宮内膜炎と言われました。いずれも着床や生育の妨げになることもあるそうです。受精卵ではなく、母体にも問題があることが、10回以上も移植を繰り返した後で分かったんです。それも、病院が見つけてくれたのではなく、自分で問題はないか考えて、自費で受けた子宮鏡の検査で診断がついたんですよ。

――子宮の治療を終えた後に最後の移植をしたんですね。

 内視鏡でポリープを取って薬を飲んで内膜炎は治ったんですが、その後、仕事を優先していたらポリープと内膜炎が再発してしまって、もう一度治療をして、よくなったタイミングで最後の受精卵を移植しました。昨年の6月1日です。その時には、48歳でしたから、夫婦でまあ駄目だろうけど、卵を体に返そうというつもりでした。だからこの結果には驚きました。

不妊治療で感じたのは、つらさ以上に医療機関への怒り

――医師に言われるがままではなく、自分で治療を選びとって成功させたという印象ですね。それでも7年間に多額の費用と、時間、体にも負担をかけ、失敗を繰り返すなんて、精神的にもつらいものがあったのではないですか。

 初めのころは、どうして妊娠しないのか、着床しても流れてしまうのか、わからなくてつらい時もありました。でも、自分で勉強して染色体に問題があるのかもしれない、といった原因が推測できるようになると、沸いてきたのは怒りです。生命の選別という議論はあるのかもしれませんが、何度も何度も流産を繰り返しているのですから、そういう視点で染色体検査の提案をしていただけないものだったのでしょうか。母体にも妊娠の妨げがあったのに、どうして検査をして問題を見つけようとしなかったのか。それに行う検査も病院によって違うし、ホルモン注射の考え方も違う。うまくいかない原因も調べずに、「次はいつにしますか」と言われるんです。しかも、値段はすべて病院の言い値で……。患者のことを考えた医療と言えるのでしょうか。

――それぞれの医師が必ずしも十分とは言えない説明で自分なりの医療を提供して、身体的、経済的な負担はすべて患者にかかってくる。自費診療で行われる不妊治療は、医療とビジネスの間にあって、患者のことを最優先で考えるという姿勢に欠けているところがあるのでしょうか。

 インスタなどで私に相談して下さる方もいますが、200万円、300万円かけている人なんてざらですよ。不妊治療に多額のお金を使ったら、その後の人生設計にも影響してきますよね。不妊治療の保険適用に向けて制度整備が進んでいますが、私の個人的な経験から言えば、保険適用していただきたいのは検査です。私は子宮鏡検査も最初は自費でした。まず、不妊につながる原因をできる限り調べてから、体外受精や顕微受精に進んだらどうなのでしょうか。そして私の経験から思うのは、頻繁に流産をする人の染色体検査を許していただけないかということです。もうひとつ、私のように42歳になって、タイミング法や人工授精のステップを踏むのは意味のあることなのでしょうか? それぞれの病院のデータや、患者の考えを基に方針を決めていきたいものだと思います。

長年、ネコの保護活動を続け、自宅には11匹!

――長年の治療、お疲れ様でした、とご苦労をねぎらいたくなります。育児と仕事の両立はこれから大変かと思いますが、ご自宅ではたくさんのネコの面倒も見ているそうですね。

 今は11匹いますが、すべて私が近所で保護してきました。妊娠していたり、ケガをしていたり、老猫だったりです。健康な若いネコは避妊去勢手術をしてマイクロチップを入れて、家の周りで世話をしています。近所のみなさんには、「避妊しているから、これ以上の子孫は生まれません。この子たちの世話だけはさせてください」とお願いして、ご理解をいただいています。

――いつごろから保護活動をしているのですか。

 20歳代のころからですね。うちには、捕獲用のトラップもあって、野良猫に気付くと、捕まえて病院に連れていって、世話をするというのを主人と2人ルーチーンでやっています。泊まりがけの仕事や2人で旅行する時は、ペットシッターさんに来てもらっています。一番の年寄りは一昨年拾ってきたおばあちゃんネコ。自分で食べられないので、一日3回ミルクをあげて、オムツをしています。赤ちゃんの世話が手慣れた感じでできるのは、その子がいたからかもしれません。

女優 小松みゆきさん

こまつ・みゆき  1971年生まれ、福島県いわき市出身。大学生の時に水着グラビアでデビュー。グラビアや写真集で注目される。女優としてもテレビ、映画、舞台で活動し、フジテレビ系時代劇シリーズ「大奥」にはレギュラーで出演した。今年2月、7年間の不妊治療を経て、49歳で第1子となる女児を出産した。

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