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ペットと暮らせる特養から 若山三千彦 

医療・健康・介護のコラム

オンラインフォーラムを配信中…スウェーデンのセラピー犬活躍、「文福」とも重なる

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オンラインフォーラムを配信中…スウェーデンのセラピー犬活躍、「文福」とも重なる

 今回は、「さくらの里山科」が社会貢献活動の一環として主催しているオンラインフォーラムの話をさせていただきます。

 現在、 『人と動物が助け合う やさしい社会を考える~認知症高齢者と保護犬たち・命の支え合いを目指して』 というオンラインフォーラム を配信中です。認知症の高齢者が犬によって癒やされることをテーマに、各分野の専門家が講演を行っています。

 目玉企画となっているのが、「スウェーデン介護施設におけるセラピー犬オテロの活躍」と題した資料映像です。現地で作られた映像で、日本ではこのオンラインフォーラムでしか見ることはできません。オテロの活躍は、「さくらの里山科」にいる元保護犬の「文福」とも重なるものがあり、胸を打たれました。

 感心したのは、スウェーデンの介護施設では、高齢者を癒やすセラピー犬が職業犬として確立されており、犬の“新人”研修もあれば、定年もあるということです。警察犬や盲導犬などと同じですね。日本でもセラピー犬は多数いるのですが、残念ながら民間団体が頑張って育成し、活動しているだけで、福祉業界全体で組織的に評価し、活用するレベルにはなっていません。この映像を見れば、セラピー犬が認知症高齢者のケアに有効であることは明らかなので、厚生労働省もぜひ考えてほしいものです。

 そして、皆さんにぜひ見てほしいのが、拙著「 看取(みと) り犬・文福 人の命に寄り添う奇跡のペット物語」(宝島社)に収められたエピソードの一つを、斉藤京介さんという声優が朗読している映像です。既にこの映像を見てくださった人たちからは、「自分で本を読むよりも、プロによる朗読を聴く方が、一層感動する」という声が寄せられています。この朗読映像を通して、日本の介護現場でも立派に活躍している犬がいることを、少しでも多くの人に知っていただければと願っています。

 各分野の専門の先生方の講演も大変参考になると思います。最初に課題提言として、横浜国立大(高大接続・全学教育推進センター)准教授の安野舞子先生が、「人と伴侶動物の関係から社会を見直す」という話をしてくださっています。社会学者である安野先生は、「人と動物の関係学」という独自の研究を行っており、人とペットの幸せな共生を模索していることで有名です。

 東京慈恵会医科大(精神医学講座)教授の繁田雅弘先生は、認知症診療のオピニオンリーダーとして知られており、NHKの健康チャンネルなどメディアにも登場されています。今回のフォーラムでは、「認知症で幸せな人、そうでない人」という講演をしていただいており、50歳代後半の私のように、老後が近づいている人にとっては身につまされる内容です。

 細田診療所(東京都葛飾区)の酒井忠和先生は、医療の現場でアニマルセラピーを取り入れている小児科医として有名です。アニマルセラピーが、決して怪しげな民間療法などではなく、医師も科学的に評価するものであることがわかる講演をしてくださいました。

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若山 三千彦(わかやま・みちひこ)

 社会福祉法人「心の会」理事長、特別養護老人ホーム「さくらの里山科」(神奈川県横須賀市)施設長

 1965年、神奈川県生まれ。横浜国立大教育学部卒。筑波大学大学院修了。世界で初めてクローンマウスを実現した実弟・若山照彦を描いたノンフィクション「リアル・クローン」(2000年、小学館)で第6回小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。学校教員を退職後、社会福祉法人「心の会」創立。2012年に設立した「さくらの里山科」は日本で唯一、ペットの犬や猫と暮らせる特別養護老人ホームとして全国から注目されている。20年6月、著書「看取みといぬ文福ぶんぷく 人の命に寄り添う奇跡のペット物語」(宝島社、1300円税別)が出版された。

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