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強迫性障害で虚血性脳卒中の発症リスク3倍

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 強迫性障害(OCD)患者は肥満や糖尿病、高血圧などの脳卒中に関連する危険因子の保有率が高いことが報告されている。だが、OCD患者の脳卒中リスクに関しては明確に分かっていない。こうした中、台湾・Taipei Veterans General HospitalのMu-Hong Chen氏らは、同国の国民健康保険データを用いた研究の結果、OCD患者では後年に虚血性脳卒中を発症するリスクがOCDのない人と比べ約3倍に上昇していたとStroke( 2021年5月27日オンライン版 )に発表した。

2万8,064例の症例群と同数の対照群を解析

強迫性障害で虚血性脳卒中の発症リスク3倍

(C)Adobe Stock ※画像はイメージです

 研究対象は、2001年1月1日~10年12月31日にOCDと診断された20歳以上の成人2万8,064例(OCD群)と、年齢、性、併存疾患でマッチングしたOCDの診断歴がない同数の対照群。両群の平均年齢は37歳で、女性の割合は51.8%だった。追跡期間は、OCDの診断日から死亡または2011年12月31日までとした。

出血性脳卒中リスクの上昇は認められず

 Cox回帰モデルを用いた解析の結果、OCD患者では対照群と比べて虚血性脳卒中のリスクが約3倍に上昇していた〔ハザード比(HR)3.02、95%CI 1.91~4.77〕。また、同年齢層の対照群と比べた同リスクは40~59歳の中年OCD群で約2.7倍(HR 2.66、95%CI 1.34~5.29)、60歳以上の高齢OCD群では約3.5倍(同3.46、1.70~7.05)に上昇していた。一方、出血性脳卒中リスクに関してはOCD群と対照群の間に有意差はなかった。

 以上から、Chen氏らは「OCD患者はOCDのない人と比べて後年に虚血性脳卒中を発症するリスクが高かった。脳卒中に関連する代謝異常や他の重度の精神疾患などの併存疾患を調整後も、OCDは虚血性脳卒中の独立した危険因子であることが分かった」と結論。その上で「OCD患者の診療では脳血管障害およびそれに関連するリスクに注意を払うべきである」と述べている。(岬りり子)

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