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街で障害のある人と出会ったら~共生社会のマナー

医療・健康・介護のコラム

「次の方どうぞ」と言われても…視覚に障害がある人の医療機関受診 少しの工夫と想像力が必要です

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 ヨミドクター読者の皆様、サービス介助士アドバイザーの平野恵です。新型コロナウイルスワクチンの接種体制について、医療現場の話題がニュース番組でも多く放送されるようになりましたね。今回は、視覚に障害のある私が、どのようにして医療機関を受診しているのか、医療機関ではどのような配慮をすべきかを、予約・受付・診察・薬の受け取りの四つに分けてご紹介します。

予約時に意識すべきこと

「次の方どうぞ」と言われても…視覚に障害がある人の医療機関受診 少しの工夫と想像力が必要です

 まずは、受診予約について。初めは晴眼者(視覚に障害のない人)と同じく、インターネットで申し込みを試みるのですが、最終的には電話で予約してしまうことが多いです。パソコンの音声読み上げソフトに対応している予約サイトもあるのですが、全ての病院のサイトが対応しているわけではなく、結局、電話で予約することが多くなるのが現状です。しかし、電話だと受付時間の制限があります。Webサイトのアクセシビリティーが進めば予約方法の選択肢が増え、視覚障害者にとっての利便性も向上します。

受付時の案内で意識すべきこと

 次に、病院の受付について。受付では、並んでいる列と最後尾がどこか、見つけることができません。また、晴眼者が「次の方どうぞ」などと声をかけられた時は、アイコンタクトで自分の順番だと気が付くことができますが、私にはわかりません。「 白杖(はくじょう) をお持ちの方どうぞ」「○○色のジャケットをお召しの方どうぞ」のように、自分に話しかけているのだとわかるように声をかけてほしいです。カルテの提出場所やキャッシュトレーの位置などを教えていただくと、会計時にもスムーズです。

診察時の案内で意識すべきこと

 診察室まで案内をしていただく際には、両手をつかんで案内されることが多々あります。両手をつかまれると、自分で安全を確認することができなくなってしまい、不安に感じます。どのように案内してほしいかは人によって異なりますので、案内する前に本人の希望を聞いてください。その方に一番合った方法で、安全に案内することができます。

 診察室に入った後も、私の座るいすの位置について、「あなたの正面に先生が座っています」というように声で説明してもらえると助かります。背もたれがあるいすなら、手を背もたれに触れさせてもらうと、自分で座ることができます。キャスターの付いたいすが苦手な視覚障害者もいるので配慮してください。診察室の状況(部屋の広さやベッドの位置など)の説明もあると、どのような部屋にいるのかがわかって、より安心できます。言葉による説明は、視覚障害者にとってとても重要であり、不安の解消につながるのです。

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街で障害のある人と出会ったら~共生社会のマナー

冨樫 正義(とがし・まさよし)

冨樫 正義(とがし・まさよし)
 1973年、埼玉県生まれ。桜美林大学大学院卒(老年学研究科修士号)。東洋大学国際観光学部非常勤講師。法律事務所、不動産関係会社、人事コンサルタント、専門学校講師を経て、現在、サービス介助士、防災介助士、認知症介助士などを認定・運営する団体「公益財団法人日本ケアフィット共育機構」(0120‐0610‐64)のインストラクターとして、年間50社以上の企業対象研修を担当するほか、企業のバリアフリー・ユニバーサルデザインのコンサルティングも行う。

平野 恵(ひらの・めぐみ)

平野 恵(ひらの・めぐみ)
 視覚障害と軽度の移動機能障害がある。2歳から4歳まで盲学校幼稚部、その後、小学校から高校まで養護学校(現在の特別支援学校)に通い、高校まで車いすを使用して生活をしていたが、大学入学後の訓練を経て、現在では白杖のみで歩行している。日本ケアフィット共育機構事務局に勤務。サービス介助士アドバイザー。

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