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医療・健康・介護のコラム

無精子症発覚で、やむなく精子提供 妻が望まぬ治療を無理に進めた悲しい結末

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 Hさんは、28歳の時に結婚。二つ年上の夫と、しばらくは新婚生活を楽しみたいからと、避妊をしてすごしていたそうです。結婚して2年ほどたち、まもなく30歳になるのをきっかけに、避妊をやめて自己流で排卵日を特定し、妊娠に向けての活動を始めました。しかし、そうすぐには妊娠することはありません。Hさんも「まだ始めたばかりだから仕方ないよね。しばらく様子を見よう」と、深く考えることはなかったそうです。

無精子症発覚で、やむなく精子提供 妻が望まぬ治療を無理に進めた悲しい結末

 ちょうどそのころ、Hさん夫婦はともに仕事が忙しく、金融関係に勤める夫は帰りが遅いのは当たり前、時には徹夜ということもあったそうです。出版社に勤めるHさん自身も多忙な時期で、生活も不規則になりがちでした。排卵日の夫婦生活というタイミングをとろうにも、なかなか時間が合わず、そこまでちゃんとはとれなかったといいます。

近所の産婦人科に通い、タイミング法 半年過ぎても妊娠せず

 「でも、自己流の妊活を始めて1年になろうとしたころ、このままじゃいけないのかも。いつまでたっても妊娠できない、って思って、思い切って病院に行くことにしました」

 Hさんが最初に通ったのは、近所の小さな産婦人科でした。そこが一番近かったことと、通いやすかったことで決めたそうです。「夫はあまり気が進まなそうな様子だったし、そもそも病院に行ける時間には帰ってくることはできなかったので」とのことで、Hさんだけの受診となりました。そこで、排卵日を特定して夫婦生活を持つという「タイミング法」が、やっと正式に始まったのでした。

 病院に通って分かったことは、Hさんが自分であたりをつけていた排卵日は、けっこうずれていたということです。そもそも生理周期が規則的ではなかったことから、自分ではなかなか排卵日の特定は難しかったのですが、それにしても、医師から告げられた排卵予測日と3~4日もずれていたことは想定外でした。「こんなにずれていたのなら、そりゃ自分でタイミングを計っても、妊娠しなかったはずだな」と、Hさんは妙に納得したといいます。

 そして、毎月の排卵日を調べてもらいながらのタイミング法での不妊治療が始まりました。Hさんは、医師の「まだお若いし、半年もすれば妊娠できると思いますよ」という言葉を頼りに、夫と話し合って毎月ちゃんとタイミングを取り、病院に通い続けました。

不妊治療専門病院で様々な検査

 しかし、医師が目安として提示してくれた半年を過ぎても、いっこうに妊娠しません。「私もそろそろ気持ちが焦ってきていたので、もっと他の治療を受けることはできないか、相談してみたのですが、そこではそれ以上の治療はできなかったため、紹介状をもらって、今度は不妊治療の専門病院に行くことになりました」

 そこでは最初に様々な検査を受けることになり、Hさんは「こんなに検査があったなんて」と驚いたそうです。「最初から専門の病院に行けばよかったかも」と、過ぎた時間をもったいなく感じました。そこで「フーナーテスト」も受けることになりました。これは排卵前の頚(けい)管粘液が出ていると思われる時期に夫婦生活を持ち、粘液の中に精子がどのくらいいるかを調べるテストで、元気な精子がどれぐらいいるかなど、精子の様子を観察することができます。前夜にタイミングを取り、ちょっと緊張しながら病院に行ったところ、医師からの検査結果はとてもショックな言葉でした。

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松本亜樹子(まつもと あきこ)

NPO法人Fine理事長/国際コーチ連盟認定プロフェッショナルサーティファイドコーチ

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

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