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医療・健康・介護のコラム

無精子症発覚で、やむなく精子提供 妻が望まぬ治療を無理に進めた悲しい結末

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「ご主人には精子が1匹も見つかりませんでした」

無精子症発覚で、やむなく精子提供 妻が望まぬ治療を無理に進めた悲しい結末

 「今回の検査では、残念ながら精子が確認できない状態でした。こんなことはめったにないんですが……。これまでにご主人様の精液検査をしたことはありますか?」。Hさんは気が動転しながらも、「あ、いえ、ありません」と答え、次回、精液検査をすることになったそうです。

 今では不妊治療をする際には、男女ともに検査をしてからというのがほぼ当たり前のこととなってきましたが、まだまだ不妊の原因は女性と思われているためか、検査を嫌がる男性がいるのも現状です。Hさんもそのケースで、夫は病院へ行くのは抵抗を示したそうです。しかたなく朝から家での採取を行い、当日、Hさんが検査に持っていくことになりました。

 検査結果を一人で待つ間、Hさんはとても落ち着かず、手にしている本の文字がちっとも頭に入ってこなかったそうです。しばらくして診察室に呼ばれ、告げられた言葉は、信じがたい一言でした。

 「○○さん、残念ながらご主人には精子が1匹も見つかりませんでした。ご主人は無精子症です」

 (……え? なに?……なに?…… 1匹も……いないってどういうこと?? 無精子症って?? 精子がいないって、じゃあ、赤ちゃんはどうなるの? 1匹も……って……)

 すぐには理解ができず、何の言葉にもならず、あまりのショックに泣くこともできなかったそうです。受け止めるにはあまりにも重たい現実です。医師の説明も一応聞いてはいたけれど、あまりちゃんと頭の中には入ってこず、ただ、この無精子症という自分ですら受け入れがたい事実を、夫にどうやって伝えたらいいのか、何と言えばいいのか、そればかりを考えていたといいます。

結果を信じない夫 再検査の結果もやはり変わらず

 結局、Hさんは自分の口から告げることはできず、帰宅後の夫に、検査結果の紙を黙って渡しました。夫はそれを見て「なんだこれ!? 無精子症ってどういうこと? こんなの何かの間違いに決まっている! 検査のやり直しをしてもらう!」と、結果を全く信じることができず、後日、再検査をすることになりました。しかし、残念ながら再検査の結果もやはり変わらず、また更に詳細な検査をしてみた結果、Hさんは完全な無精子症という診断が下されました。

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松本亜樹子(まつもと あきこ)

NPO法人Fine理事長/国際コーチ連盟認定プロフェッショナルサーティファイドコーチ

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

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