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Dr.三島の「眠ってトクする最新科学」

医療・健康・介護のコラム

短時間睡眠を続けると、人はどうなるのか?

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無意識に認知機能が低下していく

 今回お伝えしたいのは、睡眠時間を削っている間、眠気の高まりは比較的ゆっくり進んでいくのに対して、認知機能は早期から低下する点です。睡眠時間を削って間もない、眠気がさほど強くない時期でさえ認知機能は低下しています。人は睡眠不足の有無を眠気の強さで評価することが多いため、心身への影響を感知できず、「眠気がないから大丈夫」と考えがちです。睡眠不足時の事故は居眠りだけで起こるわけではありません。認知機能の低下によるヒューマンエラーや大きな事故、それに体調が悪いのに働き続けることでミスや損失が発生しやすくなる状態の「プレゼンティーイズム」などにつながります。特に、高いパフォーマンスを要求される仕事や、運転や大型機器操作などの危険作業に従事する人は要注意です。

断眠がもたらす誇大妄想や幻覚、極度の被害妄想

 短時間睡眠実験の究極版である「(長時間眠らずに過ごす)断眠実験」も行われているのでご紹介しましょう。一番有名なものは、米国西海岸の男子高校生が樹立した264時間(11日間)、連続で覚醒していた記録です。決して元気に過ごしたわけではありません。最初の2日は眠気と 倦怠(けんたい) 感で済んでいましたが、4日目には自分が有名プロスポーツ選手であるという誇大妄想、6日目には幻覚、9日目には視力低下や被害妄想、終了間際には極度の記憶障害などが生じたそうです。彼はその後一体どうなったでしょうか? ご安心ください。実験終了後に15時間ほど爆睡した後、元気に覚醒し、なんら後遺症もなかったそうです。

 この実験は医学的な管理の下、純粋に研究目的で行われたものなので、まねしようなどとは思わないでください。実際、長期間の断眠は心身に大きな負荷がかかります。ラットを用いて長期間断眠する実験では、体重や活動性は減少し、免疫機能も低下、微生物による感染が目立つようになり、2週間足らずですべて死んでしまいました。

 睡眠は健康の源です。睡眠時間を削っても健康で質の高い生活が送れないのでは意味がありません。(三島和夫 精神科医)

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三島和夫(みしま・かずお)

秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座 教授

 1987年、秋田大学医学部卒業。同大助教授、米国バージニア大学時間生物学研究センター研究員、スタンフォード大学睡眠研究センター客員准教授、国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。日本睡眠学会理事、日本時間生物学会理事。著書に『不眠症治療のパラダイムシフト』(編著、医薬ジャーナル社)、『やってはいけない眠り方』(青春新書プレイブックス)、『8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識』(共著、日経BP社)などがある。

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