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【独自】司法解剖検査数を水増し、近大元教授の名義で費用請求か…説明要求へ

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【独自】司法解剖検査数を水増し、近大元教授の名義で費用請求か…説明要求へ

近畿大法医学教室が大阪府警に提出した司法解剖の請求書。実際には行っていない検査が計上されている疑いがある

 近畿大医学部法医学教室が、大阪府警から依頼された司法解剖の検査数を水増しして府警に費用を請求していた疑いがあることが捜査関係者への取材でわかった。司法解剖は遺体1件につき複数の種類の検査を実施するが、実際には行っていない検査を報告書に記載した疑いがあるという。府警は事実関係を調べるとともに、鑑定結果に影響がないか慎重に洗い直しを進めている。

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巽信二容疑者

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 近大法医学教室を巡っては、元教授の巽信二容疑者(66)(懲戒解雇)が、偽造領収書で大学から約1700万円を詐取したとして、9日に詐欺容疑などで府警に逮捕された。検査結果は巽容疑者名義で報告されており、府警は説明を求めるとみられる。

 司法解剖は、刑事訴訟法に基づき、犯罪が疑われる遺体の死因や事件性の有無を調べるために行われる。検査は、血液やウイルス、CT撮影など十数項目あり、各警察本部が委託先の大学などと契約を結んで検査ごとに単価を定め、終了後に委託先から報告書や請求書が提出される。検査結果に基づいて作成される鑑定書には死因などについての解剖医の所見が記入され、裁判の証拠にもなる。

 読売新聞が府警に情報公開請求して開示された近大の請求書によると、近大は2019年度は131件(3643万円)、20年度(1月分まで)は102件(2881万円)の遺体を司法解剖していた。

 このうち、血液や尿に含まれる薬毒物の性質や量を分析機器で調べる2種類の検査(単価7万4781円と9376円)は、19年度は38件計243回(476万円)、20年度は36件計282回(499万円)が報告されていた。

 関係者によると、近大法医学教室では、薬毒物検査は教室内部では実施しておらず、外部の検査機関に依頼していた。しかし、実際に検査機関に依頼した遺体は両年度とも報告の半分程度にとどまっていたという。

 検査機関の代表者は読売新聞の取材に「近大が報告しているような件数は検査していない」と証言した。

 また、ほかの検査項目でも、実際の検査数より多い数字が請求書に記載されている疑いがあるという。

 死因は複数の検査結果を総合して解剖医が判断する。必要な検査が行われなければ、死因の特定に影響する可能性もある。

 司法解剖の委託費は全額国費から支出され、各警察本部を通じて委託先の大学などに支払われる。近大では大学の口座で受け取り、法医学教室の運営費として大学が管理。教室が立て替え払いするなどした物品の費用を大学が支払う仕組みだった。巽容疑者が詐取したとされる約1700万円はこの口座から支出されていた。

 府警は5月以降、法医学教室や巽容疑者の自宅などを捜索。府警への請求に関連する資料も確認している。

 府警は、巽容疑者による不正が発覚した3月以降、近大への司法解剖の依頼を停止している。

 

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