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がんのサポーティブケア

医療・健康・介護のコラム

がん患者の心を支える精神腫瘍学 「予期せぬ(していない)知らせ」を患者に伝える際のコミュニケーションを学ぶ

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内富庸介・国立がん研究センター中央病院支持療法開発センター長に聞く

がん患者の心を支える精神腫瘍学 「予期せぬ(していない)知らせ」を患者に伝える際のコミュニケーションを学ぶ

内富庸介さん

 がん告知をはじめとする「予期せぬ知らせ」を患者に伝える際のコミュニケーションはどうあるべきか――。がんの支持療法において、がん患者の心理面のケアを担うのがサイコオンコロジー(精神腫瘍学)です。日本のがん医療の現場にサイコオンコロジーを根付かせた第一人者である国立がん研究センター中央病院支持療法開発センター長(精神腫瘍科、社会と健康研究センター兼任)の内富庸介さんに聞きました。(聞き手・田村良彦)

――サイコオンコロジー(精神腫瘍学)という分野はいつ頃生まれたのでしょうか。

 1977年にアメリカのメモリアル・スローン・ケタリングがんセンター病院に精神科部門ができたのが世界の先駆けです。アメリカでも70年代の初めは、がん告知がほとんど行われていなかったのですが、訴訟などを理由に70年代後半までにはがん告知が広く普及したことが背景にあります。

――日本に導入されたのはいつ頃ですか。

 84年に国際サイコオンコロジー学会が発足し、86年に神戸の河野博臣先生(心療内科医)が日本支部を設立したのが始まりです。95年には神戸で国際学会が開かれました。同じ年に、千葉県柏市の国立がんセンター研究所支所に精神腫瘍学研究部が開設されました。

HIV/エイズ患者の心のケアを学ぶためにアメリカへ

――ところで、内富先生がサイコオンコロジーの道に進んだきっかけは何だったのでしょうか。

 広島大学を卒業後、精神科の医局に入り、呉病院(現呉医療センター・中国がんセンター)に8年間勤めました。そこで、精神疾患を抱えた患者さんががん治療を受けることが多くなり、外科医や内科医に診てもらうことが多く、同じ頃には、一般病棟で告知を受けていないがん患者さんの不眠の治療を始めました。いわばお互いさまです。

 折しもその頃、日本でHIV/エイズの最初の患者が報告されました。ウイルスの専門家に加えて、精神的なケアもアメリカに学ぶ必要があるとの国の方針があり、アメリカ留学の募集に手を挙げたのが、そもそものきっかけです。その結果、91年に気がついたらスローン・ケタリングにいた感じです。

――HIV/エイズ患者のケアのための留学が、なぜ精神腫瘍学に結びついたのですか。

 エイズ患者は、カポジ肉腫というがんを発症することもあり、末期がん患者の心のケアに早くから取り組んでいたスローン・ケタリングが、多くの患者を診ていました。呉から大都会のニューヨークへいきなり行ったものですから、当時はまさにジョン万次郎のような気分でした。

――日本とは、がん告知のあり方がまったく違った?

 留学した91年頃、呉病院では早期胃がんの告知さえ、手術後3か月ほどしてあいまいな形で伝えている状況でした。東京・築地の国立がんセンター中央病院でも、同じ診療科で告知する医師、しない医師がいる時代でした。一方、スローン・ケタリングでは、すでに家族性乳がんの予期的乳房切除+再建手術に関する精神的ケアを始めているところでした。

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がんのサポーティブケア

 がんやがん治療に伴う副作用が及ぼす痛みやつらさを和らげ、がんと闘う患者を支えるのが「がんのサポーティブケア(支持医療)」です。手術や放射線、薬物療法をはじめとする、がんを治すための医療と車の両輪の関係にあります。この連載では、がんに伴う痩せの悩みや、治療に伴う副作用、痛みや心のケアなど、がんのサポーティブケアが関わるテーマについて月替わりで専門家にインタビューし、研究の最前線や患者・家族らへのアドバイスについて伺います。

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