備える終活
医療・健康・介護のコラム
生前整理のコツ…思い出の品を4つに分類 一気に片付けず場所ごとに
「片付けたことで、より生活がしやすくなった。ひ孫も家に来たがって、今が楽しい」
群馬県桐生市に住む寺沢さん夫妻は、身の回りの使っていないものを処分し、思い出の品なども整頓した状態を心地よく感じている。いわゆる「生前整理」に取り組んでいる。
妻の和枝さん(75)が、72歳で仕事やボランティアを終えた後、体が元気なうちに家を整頓したいと思ったことがきっかけだ。動けなくなった時、夫の広美さん(63)に、片付けで迷惑をかけたくないという気持ちもあった。
整理収納アドバイザーの尾高理恵子さん(58)のセミナーに参加し、具体的な方法を学んだ。
まず、使いきれないものを処分した。玄関の靴箱からは、「いつか履くかも」と取っていたブーツなどが大量に出てきた。夫婦で3分の2ほど処分し、靴箱に隙間ができて、選びやすくなった。食器は不要なものを捨てた。
和枝さんは、「今は好きなものだけに囲まれている」とうれしそうだ。家具も、コタツやタンスなど、置かない方が安全で、部屋がすっきりするものはなくした。
多くの人は、子どもの思い出の品や、趣味のものの整理に苦労する。
寺沢さん夫妻は、子や孫の通知表などは本人に返した。和枝さんの趣味の手芸の布は、使いきって処分することにした。布は、作品を作って人にプレゼントしたり、ひ孫が遊びに使ったりする。もったいないとしまい込んでいたものを生かせていると感じるという。
和枝さんは「家を片付けて人を招くと、楽しさから、より元気でいなくてはという活力をもらえる」と話す。
家族の負担減にも
生前整理にはコツがある。家中を一気に片付けようとしないことだ。玄関や食器棚などの場所ごとに行い、同じ場所も、時間を空けて何度やっても良い。
尾高さんは「服の場合、悩む服を箱に入れて見えなくすると、着る服は選びやすくなり、時間がたつと、箱に入れた服は処分しやすくなる」とアドバイスする。
生前整理と身構えず、早くから少しずつ片付けることで、普段の生活をより良くできる。そして、死後に残される家族の負担も減らすことができる。(村上藍)
思い出の品 4つに分類
生前整理はいつ、どのように始めればいいのだろうか。生前整理普及協会の大津たまみ代表理事(50)にポイントを聞いた。
普段の片付けと、生前整理の違いは、散らかったところだけでなく、思い出もしっかりと片付けることです。
生前整理は、普段のワンランク上の片付けです。思い出の品を見ると、興味があったことや、やり残したことに気付けます。生前整理は、死ぬための準備ではなく、これからの人生でやりたいことを考えるきっかけでもあります。
年齢を重ねると記憶力が落ち、管理できるものの量は少なくなります。体も動きにくくなるので安全な空間を作ることが大切です。日常使うものを厳選し、思い出が整理された部屋にする必要があります。
始めるのは、やりたいと思った時がタイミングです。早いほうが良く、1回で終わらせようとしないことが、気軽に始めるコツです。
まずは、家中に散らばった思い出の品を集めましょう。そして、「いる=使っている」「いらない=使っていない」「迷い=8秒迷ったら、半年後に再考」「移動=誰かに渡す」の四つに分類します。写真は1冊のアルバムにまとめます。使えるけど、使っていないものは、その家には必要ないものです。
いるものの量の目安はミカン箱一つ分くらい。必要なものだけに囲まれて、これからの人生を輝かせてほしいと思います。
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