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田村専門委員の「まるごと医療」

医療・健康・介護のコラム

新型コロナがもたらす外国人の生活困窮 公的支援には在留資格の壁も

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DV被害も在留資格の喪失を恐れて離婚に踏み切れず

 コロナ禍で生活が困窮しているのは日本人も外国人も変わりないが、日本人と決定的に違うのは、外国人の場合は在留資格がその人の人生を大きく規定している点だ。代表的な例が、日本人や永住者と結婚していることで在留資格を得ているようなケースだ。

 コロナ禍によって、家庭内暴力(DV)の増加が懸念されている。それでも離婚してしまうと在留資格を失ってしまうために、DVに苦しみながらも離婚に踏み切ることができずにいる例も。「外国人女性の場合、DVの暴力だけでなく、制度的暴力を経験させられている」と稲葉教授は語る。

地域社会、民間による支援の工夫も

 外国人の困窮に対し、地域社会やNGOなどの民間が大きな力となって生活を支えていることも、稲葉教授は紹介した。支え合い基金や移住連による募金活動にも、短期間に多くの寄付が寄せられていることが報告された。特別定額給付金の10万円を「自分は必要ないから」と寄付されたケースも多くあったという。

 外国人が感染を広げているかのような根拠のない誹謗(ひぼう)中傷も一部に聞かれた一方で、コロナの医療現場では差別なく医療が受けられていると稲葉教授は話す。ある在留資格のない外国人の親子は、病院で医師や看護師が分け隔てなく親切にしてくれたことに対し、病院外では公的支援を受けたことがないせいも相まってか、「感謝の気持ちを一生忘れない」と語っていたという。

 公的な支援が届かない外国人の困窮に対し、民間レベルでの工夫や提案も行われている。「地域社会のリアリティーに合致した政策を」と稲葉教授は訴える。(田村良彦 読売新聞専門委員)

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田村 良彦(たむら・よしひこ)

 読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。

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