今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」
医療・健康・介護のコラム
えっ、あごの梅干ししわは口呼吸のサイン?
前歯でかめるようになったら 膠原 病が改善
Rさんは、歯科医師の星岡才賢さんから口呼吸のことを詳しく聞いて、それを改善するために歯科矯正治療を受けることにしました。星岡さんは日常の生活習慣の影響が歯並びにも出ていると考え、上あごを広げる矯正装置だけを使うのではなく、鼻呼吸の徹底や舌位置の修正、そのためのあいうべ体操指導なども重要視しています。
それまでは、口を閉じようにも閉じることができずに苦労していたRさんですが、治療と並行してセルフケアに気をつけるようになり、徐々に口を閉じられるようになりました。そして4年後には、きちんと閉じられるかみ合わせが出来上がったのです。
上あごが少し広がるだけで鼻腔容積が拡大し、鼻呼吸がしやすくなります。その証拠に矯正前には95%くらいだった動脈血酸素飽和度も、治療開始6か月後には正常値である99%になりました。周囲の人からは、オトガイの梅干ししわがなくなったと言われます。それまでは、周りが気遣っていて、言われたことがありませんでした。もちろん、きちんと前歯で食物をかみ切れるようになりました。
さらに、膠原病の一種で全身病であるSLEも改善し、投薬量を減らすことができたのです。Rさんの矯正を担当した星岡さんは、「矯正治療により口呼吸が改善し、その結果、ひょっとするとSLEにも好影響を与えるのではないか」と思っていました。
「歯並びが悪いのは、見た目だけだと思っていませんか。狭い上あごが口呼吸を誘発し、多くの体調不良を起こしていることがだんだん判ってきました。小さな時から鼻呼吸を心がけていることは、正しい歯並びを獲得できることにもつながります。大人でもあごを広げることで改善が見込めます。Rさんはとても頑張って治療に取り組み、さらなる改善を目指しています」
自分が口呼吸をしているなんて、誰も思ってもみないものです。あなたのオトガイの状態はいかがですか?(今井一彰 みらいクリニック院長・内科医)
※協力=星岡才賢・星岡歯科診療所院長
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