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「食費を切り詰めるしか」 65歳以上の介護保険料、平均月6000円超に上昇…滞納、資産差し押さえ最多に

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[安心の設計]介護保険料上昇 平均月6000円超、生活圧迫

 市区町村が3年に1度見直す65歳以上の月額介護保険料。その全国平均が今年4月の改定で、初めて6000円を超えた。保険料の上昇抑制に取り組む市区町村もあるが、要介護者の増加などで、将来のさらなる上昇は避けられない情勢だ。

 東京都荒川区は4月から、介護保険料を月6480円にした。500円引き上げだ。区内で一人暮らしをする女性(88)は「収入は年金だけで、保険料が上がると生活が苦しくなる。食費を切り詰めてしのぐしかない」と漏らす。

 厚生労働省の集計によると、65歳以上の介護保険料の全国平均は月6014円。2000年度の制度開始当初(2911円)の約2・1倍に膨らんだ。このまま上昇が続くと、高齢者の生活を圧迫しかねないとの指摘が出ている。

 厚労省の調査では介護保険料を滞納し、市区町村から資産の差し押さえ処分を受けた65歳以上の高齢者は18年度に約1万9000人。調査を始めた12年度以降で最多になった。保険料の上昇で、負担が困難になった高齢者が増加したことも影響したとみられる。

「据え置き」36%

 今回の改定では高齢者の負担を抑えるため、保険料を据え置いたり、引き下げたりする市区町村も目立った。全体の36・2%の市区町村が据え置き、15・2%が引き下げた。

 東京都世田谷区は、4月から270円減額し、月6180円とした。引き下げのため、介護保険料の余剰金を積み立てた「介護給付費準備基金」約94億円のうち約58億円を取り崩した。区の担当者は「コロナ禍での経済的負担を考慮した」とする。

 介護予防などの地道な取り組みで、保険料の抑制を図っている自治体もある。

 長崎県佐々町では、65歳以上の住民が「介護予防ボランティア」になり、集会所で体操教室をしたり、高齢者の自宅の掃除や買い物の手伝いをしたりしている。

 介護予防を推進してきた効果もあり、4月からの保険料は月5726円で据え置いた。町の担当者は「何もしなければ、保険料はもっと上がっていただろう」と話している。

 ただ、今回の厚労省の集計では、25年度には全国平均が月6856円に上昇する見込みという。コロナ禍の収束が見通せない中、高齢者の負担感に拍車をかける恐れがある。(小野健太郎、村上藍)

淑徳大の結城康博教授(社会保障論)の話

 現在の介護保険制度の仕組みでは、高齢者が増えると保険料も上がる。公費負担の割合を増やすなどして保険料の上昇に歯止めをかける検討を進めるべきだ。介護予防など要介護者を減らす施策も欠かせない。

最高は9800円…東京・青ヶ島村

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 厚労省の集計によると、4月の改定で介護保険料が最も高くなったのは東京都青ヶ島村の9800円。逆に最も低かったのは北海道 音威子府おといねっぷ 村と群馬県草津町の3300円で、約3倍の開きがあった。政令市では大阪市が8094円で全体の第5位に入った。

 引き上げ率が大きかったのは北海道洞爺湖町(33.3%)、佐賀県玄海町(26.9%)、静岡市(15.2%)など。引き下げ率が大きかったのは大阪府千早赤阪村(マイナス24.5%)、山口県田布施町(同20.5%)、福島県葛尾村(同16.3%)など。

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