山中龍宏「子どもを守る」
医療・健康・介護のコラム
なぜ赤ちゃんを「洗濯機の上」に置くのか?…同じ転落事故が続くわけ
「第1子」「父親」で多く発生
転落の状況を詳しく分析すると、「第1子で初めての子育て」「いつも赤ちゃんと一緒にいるわけではない父親」「お風呂に入れるための準備中」という条件で多く起きていることがわかります。
これらに対応するためには、初めてのお子さんを育てている保護者を対象とした育児教室で、洗濯機やテーブルの上に赤ちゃんを置くと転落するという情報を提供し、お風呂に入れる前の準備は、赤ちゃんを風呂場に連れていく前にしておくことを勧めます。こうした事故は、生後1か月くらいの赤ちゃんでも起こっていますので、生まれる前の育児教室の場で、主にパパ向けに知らせるといいと思います。一度聞いておけば、多分、忘れることはないと思います。
事故を防ぐには、蓋の構造を変える必要
また、製品については、いわゆるアフォーダンスの問題と考えれば理解しやすいと思います。アフォーダンスはデザインの領域で使われている言葉で、「何も説明しなくても、体験に基づいて取り扱うことができること」を指す言葉です。
洗濯機の蓋部分は、乳児を寝かせることができる広さがあり、汚れている可能性がある床から離れていて白く清潔感があり、平らで安定感があるように思わせます。そこで、タオルやおむつ、着替えの準備、湯加減の調整などでバタバタしている父親が、とっさに洗濯機の上に赤ちゃんをのせてしまうのです。であるならば、洗濯機の蓋の構造を変えて、赤ちゃんをのせにくい蓋、あるいはのせられない蓋、のせても転落しないような蓋を開発すればいいのです。(山中龍宏 緑園こどもクリニック院長)
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