大人の健康を考える「大人び」
医療・健康・介護のコラム
幸福長寿のすすめ(4)「減塩」と「食欲維持」 大事なのは“さじ加減”…生活習慣病予防
このシリーズでは、大阪大老年・総合内科学教授、楽木宏実さんに聞きます。(聞き手・山崎光祥)
長く人生を楽しみたくても、年老いてから大病にかかっては元も子もありません。しかし、生活習慣病が関係する大病の危険性は減らせます。病気の原因や予防法、管理目標を十分に理解し、若い頃から始めることが大切です。
生活習慣病は、主に高血圧症、糖尿病、脂質異常症、肥満症を指します。適切に管理できなければ脳卒中や認知症、心筋 梗塞 、心不全のほか、透析が必要な状態になります。特に高血圧症は、脳卒中や心筋梗塞などの心血管病で亡くなる人の最大のリスク要因です。
予防の柱の一つは食習慣で、特に減塩は必須です。ただ、高齢者の場合は、味付けを薄くしすぎると食欲が落ち、栄養が不足することもあります。さじ加減は難しいですが、ラーメンやうどんの汁は残し、しょうゆやソースも使いすぎないよう心がけてください。
栄養バランスの偏りと食べ過ぎにも要注意です。バランスの偏りは、野菜を増やして彩りを良くしたり、外食では丼より定食を選んだりすることで、また、食べ過ぎはよくかんで、腹八分目を意識することでそれぞれ改善できます。
もう一つの柱となる運動習慣では、ウォーキングなどの有酸素運動のほか、スクワットなどの「レジスタンス運動」もお勧めです。有酸素運動は汗ばむ程度に行うのが理想ですが、高齢者には転倒の危険も伴うので、自宅周辺を散歩するなど、自分の体力に合わせて取り組むことが重要です。
生活習慣病にかかった後は服薬も重要になります。「副作用が強い」「数値が良くなった」などの理由で勝手にやめてはいけません。かかりつけ医と相談しながら、病気と上手に付き合いましょう。
【略歴】
楽木 宏実(らくぎ・ひろみ)
1984年、大阪大学医学部卒業。89ー90年、米国ハーバード大学、スタンフォード大学研究員。2004年、大阪大学大学院加齢医学助教授、07年から同老年・腎臓内科学教授。内科学講座の改組により15年10月から現職。
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