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Dr.イワケンの「感染症のリアル」

医療・健康・介護のコラム

東京五輪が影響? 新型コロナ 日本がワクチン接種に「本気を出した」ワケ

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5月下旬になって急激にスピードアップ

東京五輪が影響? 新型コロナ 日本がワクチン接種に「本気を出した」ワケ
東京五輪が影響? 新型コロナ 日本がワクチン接種に「本気を出した」ワケ

(Our World in Data(2021年5月31日)から引用)

 現在、日本は新型コロナウイルスのワクチン接種のスピードを懸命に上げようとしています。このことをぼくはとても肯定的に捉えています。

 確かに、ワクチン接種については、あれやこれやの小さなトラブルが起きており、そうした「不祥事」が報道されています。ワクチンを常温で保存してしまったり、注射器をなくしたり。

 それはもちろん、「正しいこと」ではありません。が、このような緊急事態において、日本中で大規模なオペレーションをやろうというのです。小さなトラブルや小さなミスも起きないようにするという方が、無理というものでしょう。

    日本の予防接種の歴史を振り返り、かつここまでのコロナ対応を振り返ると、日本はこれまで、そういう「小さなトラブルや小さなミス」を回避するために巨大な面倒くさいシステムを作り込みすぎて、それが故に接種率の低下を招いたり、接種のスピードがダダ下がりしたりする、失敗の方が大きかったのです。

 木を見て森を見ず。小さな失敗にこだわるために、巨大な失敗をする、というのが日本の典型的なパターンでした。

 データをみると、日本のコロナワクチン接種は、1回目がまだ全国民の10%にも至っていません。

 もっとも接種が進んでいるイスラエルはもちろん、西欧諸国やチリ、そして感染拡大でダメージの大きなブラジルやインドに比べてもワクチン接種作戦は大きく後れを取っています。それでも、5月下旬になって日本のワクチン接種は大きくスピードアップしており、アジアの平均を超えています(Our World in Dataより)。

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岩田健太郎(いわた・けんたろう)

神戸大学教授

1971年島根県生まれ。島根医科大学卒業。内科、感染症、漢方など国内外の専門医資格を持つ。ロンドン大学修士(感染症学)、博士(医学)。沖縄県立中部病院、ニューヨーク市セントルークス・ルーズベルト病院、同市ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院(千葉県)を経て、2008年から現職。一般向け著書に「医学部に行きたいあなた、医学生のあなた、そしてその親が読むべき勉強の方法」(中外医学社)「感染症医が教える性の話」(ちくまプリマー新書)「ワクチンは怖くない」(光文社)「99.9%が誤用の抗生物質」(光文社新書)「食べ物のことはからだに訊け!」(ちくま新書)など。日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパートでもある。

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1件 のコメント

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非接種者や浮動票の意志も取り込むシステム

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

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語呂がいいので、そろそろタイガーマスクも接種の呼びかけに使われるんじゃないですかね? 良くも悪くも日本は同調圧力が強すぎる社会です。そういう何も変わらない社会というのは理屈ではなく、官僚社会になって長い日本の国民と国家に精神的に合理的なのかもしれません。もちろん、そのことは良いことばかりでもありません。流れが滞れば水はよどみます。ワクチンの若年者の心筋炎のニュースなんかも出ましたが、今後の先行国での流れによっては、停止するくらいの気持ちと準備を持って推進するというプログラムが、積極接種希望者の動きを推進することになると思います。人体だけでなく、役人や大衆の意志にも解剖生理の理屈は応用可能なのではないかと思います。しょせん、人間なんてエゴの塊ですから。

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