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常喜眞理「女のココロとカラダ講座」

医療・健康・介護のコラム

胸焼けや口の中の酸っぱさ…胃液が食道に逆流 胃袋の入り口は加齢で緩む

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不快感、胸かみぞおちか

 内視鏡検査で異常がない場合、非びらん性胃食道逆流症(NERD)または機能性ディスペプシア(FD)という病名になる。大まかには、喉あたりから前胸部の上の方に不快感を感じる場合を非びらん性胃食道逆流症(NERD)、みぞおちあたりに不快感がある場合を機能性ディスペプシア(FD)という。

 しかしながら両者の鑑別は難しいことがある。治療もまた一筋縄ではいかない。まずは胃酸を抑える薬や、胃の運動機能を促す薬、漢方薬を試してもらうが、効果がないこともある。

胃酸を抑え過ぎると食道にカビ

 Eさんの場合も内視鏡検査をしてもらうと見事にきれいな食道と胃粘膜だった。その結果は安心できることを説明した上で事情を伺うと、家庭と仕事にストレスを抱えていたようだ。

 胃腸の機能は自律神経により調節されているので、気温差や体調、ストレスなどの影響を受けやすい。ストレスで交感神経が優位に働くと、胃が収縮して胃酸が食道に逆流しやすくなる。 

 比較的最近表れた症状のため、胃酸を抑える薬を開始したところ2週間ほどで少し改善が見られた。ただ胃酸は大事な消化液であり、抑えすぎても食道にカビが生えたりする。できれば長期的には継続してほしくない薬だ。

チョコやあずきは控えて

 治療として生活習慣も大切だ。忙しくて食事が不規則になっていたEさんには、できる限り朝昼夕と規則正しい食事時間を守ってもらい、就寝前のおやつを控えるようお願いした。香辛料など刺激的な食材、チョコレートやあずきは悪化の原因となりやすいことを伝えて自己管理してもらうことにした。

 しっかり睡眠をとり、できる範囲でストレス解消をしながら経過をみてもらい、症状がひどい時だけ胃酸を抑える薬を内服してもらうことにした。さまざまな胃腸薬で効果がない人は、抗うつ薬で良くなっていくこともある。かかりつけ医と相談しながら最適な治療法を探してほしい。(常喜眞理 医師)

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常喜 眞理(じょうき・まり)

 家庭医、医学博士
 1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医。院長を務める常喜医院(内科、皮膚科)での診療のほか、慈恵医大新橋健診センターでは診療医長として健康診断(人間ドック)の内科診察を行い、婦人科や乳腺外科の診断を担当する。様々な大手企業の産業医でもあり、職場におけるメンタルヘルスのサポートを長年行っている。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。現在、BS-TBS「Together」に準レギュラー出演中。

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