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楢戸ひかる「シニアライフの羅針盤」

医療・健康・介護のコラム

実家を相続する人、知ってますか? 遺留分は原則「金銭支払い」になりました

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「金銭の支払い」は例外的対応から原則的対応へ

 介護を担当していた実家住まいの子(姉)が、そのまま実家に住み続ける。よくある話だとは思いますが、「自分は何も相続できていない」と弟が不満を感じている場合など、前述した遺留分として、弟は遺産の4分の1を請求する権利があります。

 しかし、法改正前の遺留分減殺請求権では、請求が行われた場合、実家を姉と弟が共有している状態になります。その上で、話し合いの末に「遺留分を金銭でもらう」というケースは例外的でした。

 法改正で設けられた遺留分侵害額請求権では、例のようなケースで、相続財産について姉と弟が合意していない場合、姉は遺留分を金銭で支払うことが法律で定められました。改正により、「例外的な取り扱い」だった遺留分の金銭での支払いが、「原則的な対応」とされたのです。弟からすると、金銭でもらえることが法律で定められたのは、ある意味、フェアなのかもしれませんね。

 「弟の立場として知っておきたいことは、遺留分侵害額請求権には、期限があることです。また、姉の立場として知っておきたいのは、支払いを免除はされない、必ず支払わなければならないことです。請求された金額をすぐに支払えないなら、裁判所へ申し立て、支払期限の猶予を受けることはできます」(廿野さん)

●遺留分侵害額請求権の期限

 遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年経過したときも同様とする。

(廿野さんへの取材をもとに筆者作成)

 いずれにせよ、「遺留分の請求を受けたら、原則が金銭での支払いになった」という法改正を知っておく必要があります。「知らないうちに、そんなことになっていたの!?」ということがないよう、ぜひとも皆さんに知っておいてほしいです。(楢戸ひかる マネーライター)

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楢戸 ひかる(ならと・ひかる)

マネーライター
 1969年生まれ。大手商社に勤務後、90年代よりマネー記事を執筆。「誰もが安心してお金のことを学ぶ場」である「お金のリビング」を主宰。その入り口として、「ザックリ家計簿」ワークショップをオンラインにて開講中。詳しくはホームページ「主婦er」で。
 お金の記事だけでなく、「家族」や「暮らし」についてもコンテンツ更新中。

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