楢戸ひかる「シニアライフの羅針盤」
医療・健康・介護のコラム
実家を相続する人、知ってますか? 遺留分は原則「金銭支払い」になりました
「金銭の支払い」は例外的対応から原則的対応へ
介護を担当していた実家住まいの子(姉)が、そのまま実家に住み続ける。よくある話だとは思いますが、「自分は何も相続できていない」と弟が不満を感じている場合など、前述した遺留分として、弟は遺産の4分の1を請求する権利があります。
しかし、法改正前の遺留分減殺請求権では、請求が行われた場合、実家を姉と弟が共有している状態になります。その上で、話し合いの末に「遺留分を金銭でもらう」というケースは例外的でした。
法改正で設けられた遺留分侵害額請求権では、例のようなケースで、相続財産について姉と弟が合意していない場合、姉は遺留分を金銭で支払うことが法律で定められました。改正により、「例外的な取り扱い」だった遺留分の金銭での支払いが、「原則的な対応」とされたのです。弟からすると、金銭でもらえることが法律で定められたのは、ある意味、フェアなのかもしれませんね。
「弟の立場として知っておきたいことは、遺留分侵害額請求権には、期限があることです。また、姉の立場として知っておきたいのは、支払いを免除はされない、必ず支払わなければならないことです。請求された金額をすぐに支払えないなら、裁判所へ申し立て、支払期限の猶予を受けることはできます」(廿野さん)
●遺留分侵害額請求権の期限
(廿野さんへの取材をもとに筆者作成)
いずれにせよ、「遺留分の請求を受けたら、原則が金銭での支払いになった」という法改正を知っておく必要があります。「知らないうちに、そんなことになっていたの!?」ということがないよう、ぜひとも皆さんに知っておいてほしいです。(楢戸ひかる マネーライター)
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