介護のキホン
医療・健康・介護のコラム
草むしりやペットの散歩は?…ヘルパーさんに頼めること、頼めないこと <訪問介護>
施設でなく、住み慣れた自宅で必要な手助けを受けながら暮らしたい――。そんな時に上手に活用してほしい介護保険サービスが「訪問介護」です。
高齢期は自分ではできなくなることも出てきます。ヘルパーが定期的に自宅にやって来て、生活をサポートしてくれるというのが基本的なイメージです。
訪問介護のうち、買い物や食事作り、洗濯、掃除といった日常的な家事を代わりにやってもらうのが「生活援助」。一人暮らしや、同居する家族が家事を行えない場合などが対象です。
ただし、何でも頼めるわけではありません。
退院・介護の相談支援などを展開する株式会社HOPE(埼玉県)の代表取締役でケアマネジャーの森裕司さんは「『ついでにしてほしい』とあれこれとお願いしたくなるかもしれませんが、訪問介護のヘルパーにできることは限られています」と話します。
支援の対象が利用者本人で、日常生活で必要なこと、といった観点が、訪問介護で依頼できることの判断基準。例えば、庭の草むしりや大掃除、ペットの散歩・世話などは原則、民間の家事代行サービスなどに依頼することになるようです。
一方、体に直接触れるサービスは「身体介護」といいます。着替えや入浴、食事、服薬の介助などのほか、寝たきりの場合に、床ずれ防止のために体勢をかえることも含まれます。
自立した生活をできるだけ続けられるように、手助けをしつつ一緒に家事をしたり、安全に配慮しながら一緒に買い物に行ったりするケースも身体介護です。
訪問介護は、「要介護1~5」と判定された人が利用できます。「要支援1、2」だと、市区町村の「介護予防・日常生活支援総合事業」で類似のサービスを使うことになります。
利用料は、サービス内容、利用時間、住んでいる地域などによって変わります。
例えば、食事、服薬の介助などの身体介護サービスを30分以上1時間未満利用する場合、1回あたり4000円程度(事業者に支払われる利用料)。介護保険で自己負担は原則1割ですから、約400円です。これを月~金曜の週5日利用する場合、1か月の自己負担は9000円前後です。
掃除や洗濯など生活援助サービスを20分以上45分未満利用する場合、1回の自己負担は約180円です。
利用するサービスの頻度や組み合わせ方は、ケアプランを作るケアマネジャーと話し合って決めます。
居宅介護支援が専門のフジ介護支援センター(東京都)の主任ケアマネジャー、鈴井章子さんは「適切で快適な訪問介護の利用には、ヘルパーや事業所との信頼関係が大切です。希望する生活のイメージや、不安なことをしっかり伝えてください。サービスの利用開始後でも、気になる点は気軽に相談しましょう」と助言します。(平井翔子)
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