佐藤純の「病は天気から」
医療・健康・介護のコラム
疲労、倦怠、うつ…長い梅雨がもたらす「雨ダル」に注意! 脱出するには?
最近、どこかで「雨ダルさん」という言葉を聞いたことはありませんか? 私は、天気の崩れなどにともなう気圧変化で悪化する慢性痛を「天気痛」と名づけて、メカニズム研究や専門治療を進めてきましたが、最近では、疲労感や 倦怠 感を感じたり、うつ気分を感じたりするなど、痛み以外でも天気の影響を受ける人のことを「雨ダルさん」と呼んでいます。
在宅勤務で自律神経が十分に働かず…
今年は記録的に早く梅雨入りした地域が多く、例年より長い梅雨になりそうです。前線の影響で気圧が安定せず、湿度が高く気温差もあるため、これらの変化に体がついていかない雨ダルさんも多いかと思います。自律神経がうまく対応できないままに過ごしてしまっている人は、梅雨明けが待ち遠しいのではないでしょうか。
しかしながら、梅雨が明けると、今度は連日の猛暑となるのが近年の気候の特徴です。このような急激な環境の変化で、体が重だるい、頭がボーッとするといった「だるさ」や「疲労感」を訴える患者さんが増えてきます。人は暑くなれば自律神経が働き、汗をかいたり血管を広げたりして体温を下げようとしますが、今年も昨年と同じく、コロナ禍の影響で春先の気温が上がる時期に外出自粛や在宅勤務を続けている人が多く、自律神経が十分に働かなくなって体調を崩す人がさらに増えていくことが予想されます。体に熱がこもり、体調を崩してしまうのです。
春先から初夏の疲労感 布団から起き上がれず
私が以前、診察していた患者さんのなかに、強い疲労感に数年間悩まされている方がいらっしゃいました。この方の「だるさ」や「疲労感」は、天気が崩れる時や台風の接近でひどくなるだけでなく、春先から初夏にかけては特に、連日、疲労感が強く、布団から起き上がることも食事も入浴もできず、トイレに立つのがやっとの生活になっていました。このように日常生活が著しく損なわれるほどの強い全身の倦怠感、慢性的な疲労感が、休養しても回復せず、6か月以上の長期にわたって続く状態を「慢性疲労症候群」といいます。この患者さんの場合、診断基準では「疑いあるいは予備軍」といえるものでした。
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