ペットと暮らせる特養から 若山三千彦
医療・健康・介護のコラム
生涯の半分 9年間をペットと暮らせる特別養護老人ホームで過ごした猫…チョロ君の旅立ちに思う
ペットと一緒に暮らせる特別養護老人ホームとは
チョロ君は「さくらの里山科」で9年間を過ごしました。ちょうど18年の寿命の半分をホームで過ごしたわけです。今年3月に死んだ猫の祐介君も、15年の寿命の半分に当たる7年半をホームで過ごしました。ちょっと不思議な偶然です。
チョロ君は死ぬ2週間前までは元気でした。一日の大半を寝て過ごしていましたが、超高齢だったのにもかかわらず、ごはんをよく食べていましたし、起きている時は歩き回っていました。高いところにジャンプして登ることもできました。それが、急にごはんを食べられなくなり、数日後に起き上がれなくなると、あっという間に旅立ってしまいました。
最後の数日間、猫用のベッドで伏せっているチョロ君を、入居者の皆さんが何回も見舞っていました。チョロ君が大変な高齢であることは入居者の皆さんもわかっていましたので、悲しさよりも、穏やかに見送ろうという雰囲気が強かったように感じます。
チョロ君が死んだ後、「ペットメモリアル天使の心」という業者さんに葬儀をお願いしました。うちのホームで犬と猫が死んだ時は、いつもこの業者さんにお願いしています。ペットの火葬ができる設備を積んだ車で来てくれますので、ホームの前で、入居者の方々がお別れをすることができます。この時も、大勢の入居者が、最期の顔を見て別れを告げ、線香をあげてくれました。
今ごろ、チョロ君は、虹の橋で、飼い主さんご夫婦と久しぶりの再会を果たし、たっぷりと甘えていることでしょう。あるいは、祐介君など先に旅立った猫たちと一緒に走り回っているかもしれません。
老夫婦が亡くなるまで愛猫のチョロ君と一緒に過ごせたこと。その後、チョロ君が天寿を全うするまで守ることができたとご霊前に報告できること――この2点だけでも、ペットと暮らせる特別養護老人ホームをつくったかいがあったと思っています。
(若山三千彦 特別養護老人ホーム「さくらの里山科」施設長)
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人生とニャン生
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コラムを読んでいて心がホッコリしました。入居者の方も、大切なわが子のようなペットと一緒に入居できるなんて、本当にすてきな施設だと思います。今は、大勢の方がペットと一緒に暮らす時代ですし、このような施設がたくさんあったら、入居者の方もペットも寂しい思いをしませんし、人生、“ニャン生”を最期まで楽しく過ごせると思います。飼い主、ペットたちは、すてきな人生、ニャン生を送れたんだなと、うれしく思いました。スタッフの皆様、これからも、すてきな施設で頑張ってください。元介護士の一人として応援しています。
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ライフ
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介護に携わる仕事をしている者です。私自身、犬や猫など動物が大好きで、ペット同伴の施設がとてもうらやましいです。「さくらの里山科」さんのような特養等がたくさんできればよいと思いますし、希望です。終活で仕方なく特養等の施設に入居することで、家族同然に過ごしていた猫や犬たちと離ればなれになる利用者を見てきました。離ればなれになったペットたちは、保護されれば幸せな方なのかもしれません。現実には悲しい出来事もあります…。犬や猫が好きな入居者にすれば癒やしになるでしょうし、脳の活性化にもつながると思います。天国に旅立ってしまったチョロ君たちのご冥福(めいふく)をお祈りします。
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素敵過ぎます
シロ
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ペットと一緒に入居できる所って少ないと思うんです。入居者が亡くなられた後も、ペットを家族?に引き取ってもらうのではなく、施設で「猫生」を全うできることは、入居者の心のケアにもスタッフの癒やしにもなり、幸せなことですね。頑張って続けてくださいね。
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