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常喜眞理「女のココロとカラダ講座」

 思春期から妊娠・出産、更年期と、変化していく女性の体は様々な健康リスクに見舞われます。そこに、子育てや人間関係のストレスも重なって……。各年代の女性に特有な心身の悩みを乗り切るには、何に気をつければいいのでしょうか。健康診断や会社員のメンタルヘルスにも取り組む開業医、常喜眞理さんが答えます。

妊娠・育児・性の悩み

我慢しないで!思春期の月経痛 鎮痛薬で気持ちも楽に…婦人科や小児科で相談を

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超音波検査、おなかの上からでも

我慢しないで!思春期の月経痛 鎮痛薬で気持ちも楽に…婦人科や小児科で相談

 中学生のKさんは月経痛がつらいと言って母親とともに来院した。初潮後まだ1年ほどで最近月経周期は安定してきたが、月経初めの2日間ほどは腹痛がひどく、吐き気を伴うこともあり、先日は学校を休んでしまったという。

 中学生女子の場合、婦人科での診察に行きにくい気持ちはわかる。まずは月経痛に対して2日ほど痛み止めを利用し、改善しないようなら婦人科で超音波検査を受けようと話した。

 成人女性の場合、婦人科での超音波検査は通常経膣けいちつ超音波検査となる。母親としても、その検査方法を知っているので連れて行きにくいだろう。しかし若年女性では卵巣や子宮の大きな問題を除外する目的なので、まずはおなかの壁に器具を当てて検査をするので安心してほしいと伝えた。

15歳未満は「小児」

 初潮後まもない女の子が、鎮痛薬を使ってもよいのかを悩む母親も多い。薬に頼ってよいのか、依存性はないのかなど心配な気持ちはわかるが、痛みが生活に支障をきたすのであれば、鎮痛薬は我慢せず使用してよい。ただし15歳未満は小児とされ、体に対する安全性を考え、アセトアミノフェン(カロナールなど)の使用に限られる。たいてい症状が強いのは月経開始後の2日間ほどだ。その間だけは1日3回まで我慢せず内服してよいことにし、後日、経過を話しにきてもらうことにした。

周期や痛み 次第に対処できるように

 Kさんは薬を飲んでもよいのだと安心すると、月経開始後2日間、薬を内服することもあれば、1回きりの内服で過ごせる月もあるようになった。月経周期と痛みのコントロールを少しずつ習得することで、気持ちが落ち着いてきたようだった。

 数か月後、学校が長期休みの間に、婦人科も受診してもらったところ、異常はなかった。Kさんのようにアセトアミノフェンで改善できるとよいのだが、難しい場合もある。女子中学生は多忙、多感であるゆえ、さまざまな環境要因も絡んでくる。もちろん婦人科的な疾患がないことが前提であるが、かかりつけ医と相談し、メンタル面のサポートや漢方の併用、時によっては鎮痛薬の変更なども必要になる。婦人科だけではなく、小児科でも相談できるので悩まないで受診してほしい。(常喜眞理 医師)

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常喜 眞理(じょうき・まり)

 家庭医、医学博士
 1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医。院長を務める常喜医院(内科、皮膚科)での診療のほか、慈恵医大新橋健診センターでは診療医長として健康診断(人間ドック)の内科診察を行い、婦人科や乳腺外科の診断を担当する。様々な大手企業の産業医でもあり、職場におけるメンタルヘルスのサポートを長年行っている。著書に「オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方」(すばる舎)。現在、BS-TBS「Together」に準レギュラー出演中。

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