7歳の孫の反対咬合の歯科矯正、3軒の歯科医で治療方針が違う、どう選べばいい?
7歳(小学校2年)の孫の反対咬合の矯正のことでおうかがいします。永久歯への抜け変わりが始まっております。3軒の歯科に行ったのですが、それぞれに治療方針が違い、驚いております。始めると長いお付き合いになるので、納得して医療機関を選びたいと思っています。ネットや口コミで情報は調べてはいるのですが、どのように病院を選んだらよいのか、途方に暮れております。(73歳、女性)
症状の評価や考え方に違い、幼少期ではなく成長してから治療する場合も
森山啓司 東京医科歯科大学大学院顎顔面矯正学分野教授
下の歯が前歯よりも前に出ている受け口ですね。7歳ですと、前歯の永久歯や奥歯の中でも一番大きい第一大臼歯が出てくるころです。歯科医によって、使う器具やいつ治療を始めるのがいいか、という判断が異なっていて、戸惑われているのだと思います。反対咬合の治療を開始するかどうかの判断は、原因によって考え方が異なってきます。
主な原因としては、1)上下の前歯の傾斜の問題 2)下顎を前に突き出す癖 3)上下顎の骨格的な異常――がありますが、それらを正確に見極めて治療を考えます。1)や2)が主な原因となっている場合には、比較的簡単な装置で噛み合わせを改善して、成長に伴って骨格的な問題につながっていくことを未然に防止します。それによって、後に必要となる本格的治療を容易にするアプローチがとられる可能性が考えられます。一方、3)に該当する場合には、顎の成長のコントロールを目的とした装置を用いながら長期的な管理を行っていくことがあります。
幼い時期の治療を控えて、骨格の成長が終わってからにする選択も
治療の時期や方法の決定にあたっては、問題点をリストアップし、それぞれの重み付けを行いながら整理して、解決に向けた方策を順序立てて検討していきます。個々の患者さんの症状はもちろんのこと、例えば、ご本人やご家族の治療に対する理解や協力度、学校生活や課外活動の状況、医療機関へのアクセス、転居による医療機関の変更の可能性も考慮に入れて、総合的に判断します。同じ患者さんを診ても、症状の評価や生活状態への配慮によって、歯科医によって治療方針は異なることがあります。また、この時期の治療を控え、骨格的な成長が終わってから行う場合もあります。
専門の経験がある日本矯正歯科学会の認定医
成長期の大切な時期に多大な時間と費用を費やして行われる治療ですので、3軒の歯科を回られたのだと思います。矯正歯科を専門とする医療機関がありますので、十分な知識と技術を有する歯科医師にご相談されることをお勧めいたします。日本矯正歯科学会のホームページで認定医の検索も可能ですので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
森山 啓司(もりやま けいじ) 東京医科歯科大学大学院顎顔面矯正学分野教授。1986年同大学歯学部卒、1998年徳島大学歯学部歯科矯正学講座教授、2007年から現職。