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在宅訪問管理栄養士しおじゅんのゆるっと楽しむ健康食生活

健康・ダイエット・エクササイズ

旅館のような華やかな食事は、本当に健康的と言えるのでしょうか

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 先日、SNSを眺めていたら、ある芸能人が朝食の写真を投稿していました。その写真につけられたコメントには「まるで旅館の朝食みたいですね」「健康的で素晴らしい」「こんなにたくさんの品数を用意するなんてすごい」などと称賛する言葉が並んでいました。しかし、「管理栄養士の視点」でその献立を見たときにまず感じたのは、「1食分の塩分量が多そうだな」という印象でした。

 私たち管理栄養士はいつも栄養のバランスを気にして献立を立てています。なるべく過不足なく必要栄養量を満たすために、食材を入れ替えたり肉や魚の種類や部位を変えたり、調理法や味付けを工夫したりしています。その時、特定の栄養素や塩分が過剰にならないように注意していますが、一般の方は「品数が多ければ多いほど健康的」と考える傾向にあるのではないでしょうか。

イメージが先行する「健康的な食事」

 若い女性のインスタグラムにはこんな写真が投稿されていました。玄米を使った定食の写真です。玄米ご飯、サバのみそ煮、みそ汁、漬物、お浸し。さらに「ご自由にどうぞ」と置かれた「ふりかけ」です。ざっと見積もっても、この1食で5gほどの塩分量になりそうです。玄米を炊く際、風味をよくするために塩分が炊きこまれている場合があるので、そうなるとさらに塩分量は増えることでしょう。「玄米を使った健康定食」と思って完食すると、「塩分過多の不健康定食」になっているかもしれません。何をもって「健康的」と考えるかはひとそれぞれだとは思いますが、栄養学的な評価はなおざりにして、あまりにも「イメージ」が先行している状況に危機感を覚えます。

 これはSNS 界隈(かいわい) だけの問題でなく、テレビなどでも特定の食品を食べると健康になれるかのような大げさな取り上げ方をしていることがあります。その食品が翌日、スーパーから姿を消すということも日常茶飯事ですね。それぞれの中に「健康的な食事の物差し」がないために、そういった情報に振り回されてしまうのではないでしょうか。

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塩野崎顔2_100

塩野崎淳子(しおのざき・じゅんこ)

 「訪問栄養サポートセンター仙台(むらた日帰り外科手術WOCクリニック内)」在宅訪問管理栄養士

 1978年、大阪府生まれ。2001年、女子栄養大学栄養学部卒。栄養士・管理栄養士・介護支援専門員。長期療養型病院勤務を経て、2010年、訪問看護ステーションの介護支援専門員(ケアマネジャー)として在宅療養者の支援を行う。現在は在宅訪問管理栄養士として活動。

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