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塩なめて暮らす学生・解雇されたひとり親女性…困窮者にミシュラン掲載店が「無料定食」

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塩なめて暮らす学生・解雇されたひとり親女性…困窮者にミシュラン掲載店が「無料定食」

子ども食堂の準備をする料理長(右端)ら(13日、川崎市高津区の「古今本店」で)

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13日に出された夜ご飯定食

 「ミシュランガイド」で高評価の日本料理店「 古今ここん 本店」(川崎市高津区)が今月末まで、「子ども食堂」として、経済的に苦しむ人々に無料で食事を提供している。コロナ禍でも支えてくれた常連客への恩を世の中に返そうと考えたといい、三浦孝宏代表(50)は「困っている親子や若者の活力につながれば」と願っている。(松崎美保)

 初日となった13日夕方、親子など14人が続々と訪れ、定食の銀だらのしょうゆ こうじ 焼きや信州そばをほおばった。都内から訪れた女性(28)は「久々においしいご飯が食べられた。自分よりも困っている人がいるだろうとためらったけど、来てよかった」と笑顔を見せた。

 女性は7年前に上京し、看護師をしていたがコロナ対応をする中で体調を崩し、昨年末に退職。雇われたアルバイト先もコロナのあおりで経営が悪化して解雇され、今は貯金を取り崩して生活しているという。「家に帰ればまた独りの『無』の時間。でも『またおいで』と言われ、居場所があるんだと安心できた」と話す。

 2013年創業の同店は、ミシュランで最高の「三つ星」店出身の料理長を擁し、「日本酒ソムリエ」が全国の名酒約140種から提案してくれる名店だ。15年のミシュランで、手頃な価格で良質な食事ができる店「ビブグルマン」に選ばれ、接待や記念日の会食などで連日ほぼ満席だった。

 コロナ禍による時短営業や酒類提供停止で飲食店に逆風が吹く中でも、常連客が通ってくれ、黒字経営を保てているという。そんな状態への感謝もあり、10年ほど前から養護施設などへの支援活動を行っていることを踏まえ、三浦さんが今回の企画を思いついたという。

 今月8日にブログやSNSで告知すると、11日の受け付け開始から3日間で50件以上の予約・問い合わせがあった。居酒屋のアルバイトがなくなったため塩をなめて暮らす都内の大学生や、コロナ禍で非正規の仕事を解雇されたひとり親の女性――。「電話で泣きながら窮状を訴える人も多い。子どもだけでなく親も支援を必要としている」(三浦さん)。電車賃がない人が来店した場合、一部を渡すことも考えている。

 子ども食堂は水~金曜午後5~7時で、1日10人程度の予約制。メニューの「夜ご飯定食」は肉や魚のメインのほか、具だくさんのみそ汁に小鉢、自家製の漬けものなどボリュームたっぷりで、ごはんはお代わりができる。ランチの「日替わり膳」(税込み1680円)とほぼ同じ内容だ。

 予約は、来店希望日の3日前までに火~金曜午後3~8時、同店(044・819・4891)へ。日、月曜休み。予約はほぼ埋まったが、三浦さんは「明日食べるものがないなどどうしても困った人がいたら連絡して」と話している。

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