産業医・夏目誠の「ハタラク心を精神分析する」
医療・健康・介護のコラム
買い物、ゲーム、SNS、若者の依存症は自己愛の満足、中高年は現実逃避
買い物で自己愛が満たされた
産業医 :そうか。専門的になりますが、その幸福感はあなたの「自己愛」が満たされたからでしょう。
有里さん:そう、認められたのです。自分が働いたお金で買い物をして、頑張った自分に、ご褒美です。
産業医 :それから?
有里さん:購入品の値段が上がると、別の部屋に案内されて、もっと良い品物を見せてくれます。店員さんは「すぐに購入しなくても良いですよ。将来のために」と言ってくれます。でも、最高級の品物だから欲しかった。「買います」と言えば、「さすがに見る目がありますね。ハイセンスのあなたにはピッタリ」と褒めてくれて、VIP扱いされたような気分です。嬉しかったわぁ……。
産業医 :舞い上がったんだ。
ワンランクアップした私!
有里さん:(自信満々に)特別な店で、リッチな買い物。25万円。現金払いは無理なので、クレジット払いです。友達に見せたら、うらやましがられた。自分がワンランクアップしたような気持ちですね。
産業医 :そうか。
有里さん:私は平凡なOLではない。頑張って、輝いている女性になったという感じです。それから何回も、そのお店で購入しました。
産業医 :お金は?
借金が1000万円に
有里さん:200万円使ったら、貯金がなくなりました。それでも買いたい衝動が走って。
産業医 :衝動に支配された!
有里さん:三つくらいのサラ金から借り、買いまくりました。買った時は夢見心地。私はハイクラスの女になったと……でも利子が膨らみ、返済額は800万円です。いや、1000万くらいかな……。とても返せません。会社にも取り立てが来ます。
産業医 :上司は知っていますか?
有里さん:電話がかかってくるし、帰社時に取り立てに来ますから、気づいています。呼び出されて、事情聴取されました。
有里さんは買い物依存症です。
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