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今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」

医療・健康・介護のコラム

コロナ後遺症と筋痛性脳脊髄炎、慢性上咽頭炎の関係は?

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 日常診療でもコロナ後遺症を診察する機会が増えてきました。症状としては、微熱や息苦しさ、不安感が続くといったものから、極度の 倦怠(けんたい) 感や嗅覚脱失、脱毛といったものまで様々な症状があります。発症後半年たった時点でも約半数に症状が残っているという報告もあり、新型コロナウイルスが心身に与える影響の大きさに驚かされます。

コロナ後遺症と筋痛性脳脊髄炎、慢性上咽頭炎の関係は?

 特に、倦怠感により離職、休職せざるを得なかった人は、これからの生活そのものへの不安も襲ってきます。この強い倦怠感やブレインフォグ(脳の霧)という症状ですぐ思い出されるのが、「千の病名を持つ病気」と呼ばれるME/CFS(筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群)です。5月12日はナイチンゲールの誕生日でしたが、ME/CFS啓発の日にもなっています。ナイチンゲールは晩年、ME/CFSと思われるような症状に悩まされたというのが由来です。

過去にもあったコロナ後遺症

 実は、コロナ後遺症が問題になったのは今回が初めてではなく、2003年の重症急性呼吸器症候群SARS-1(今回はSARS-2です)や中東呼吸器症候群(MERS)でも同様の症状が報告されています。どちらも引き起こしたのはコロナウイルスです。新型コロナウイルスでは、パンデミックになったことが原因で後遺症を発症する人の数も桁違いに多いため、社会的関心が持たれるようになりました。

 私は、重症新型コロナ後遺症の症状を聞いて、これはME/CFSであろうと推察しましたが、身近で診療することがなかったため、はっきりとわかりませんでした。ウイルスや細菌感染をきっかけに発症するウイルス感染後疲労症候群という病名も以前から使用されていましたが、臨床現場ですぐに簡便に利用できる血液検査や画像診断もなく、効果的な治療法がありません。

 ME/CFS患者は、全世界では数百万人~1千万人、日本でも30万人ほどいるとされていますが、いまだ明確な患者数は把握できません。ME/CFSの症状は多様で上記の他、睡眠障害や起立性調節障害(ひどい立ちくらみ、頭痛やめまいなど)といったものも含まれます。新型コロナ感染症者はこれからますます増えていくでしょうから、ME/CFS患者数もそれに比例して増えていくと危惧しています。

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今井 一彰(いまい・かずあき)

 みらいクリニック院長、相田歯科耳鼻科内科統括医長

 1995年、山口大学医学部卒、同大学救急医学講座入局。福岡徳洲会病院麻酔科、飯塚病院漢方診療科医長、山口大学総合診療部助手などを経て2006年、博多駅近くに「みらいクリニック」開業。日本東洋医学会認定漢方専門医 、認定NPO法人日本病巣疾患研究会副理事長、日本加圧医療学会理事、息育指導士、日本靴医学会会員。

 健康雑誌や女性誌などに寄稿多数。全国紙、地方紙でも取り組みが紹介される。「ジョブチューン」(TBS系)、「林修の今でしょ!講座」(テレビ朝日系)、「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)、「ニュースウオッチ9」(NHK)、「おはよう日本」(同)などテレビやラジオの出演多数。一般から専門家向けまで幅広く講演活動を行い、難しいことを分かりやすく伝える手法は定評がある。

 近著に「足腰が20歳若返る足指のばし」(かんき出版)、「はないきおばけとくちいきおばけ」(PHP研究所)、「ゆびのば姿勢学」(少年写真新聞社)、「なるほど呼吸学」(同)。そのほか、「免疫を高めて病気を治す口の体操『あいうべ』」(マキノ出版)、「鼻呼吸なら薬はいらない」(新潮社)、「加圧トレーニングの理論と実践」(講談社)、「薬を使わずにリウマチを治す5つのステップ」(コスモの本)など多数。

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