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がん患者団体のリレー活動報告

医療・健康・介護のコラム

NPO法人ミーネット

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 がん患者・家族と同じ立場で相談支援にあたる「がんのピアサポーター」を養成し、地域に根ざしたピアサポート活動に取り組んでいます。名古屋市が開設した「名古屋市がん相談・情報サロン ピアネット」を名古屋市と協働で運営し、ミーネットが実施する約1年間の「がんのピアサポーター養成講座」を修了したピアサポーターが、利用者の相談対応にあたっています。今後、行政や医療機関との連携をさらに深め、「がんになっても安心な社会」が実現するよう、がんのピアサポート活動を通じて貢献したいと考えています。

NPO法人ミーネット

愛知県内のがん診療連携拠点病院での院内ピアサポートの様子

がんのピアサポーター養成に注力

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初めて開催されたピアサポーター養成講座(2008年7月)

 がんは、生涯を通じて国民の2人に1人がかかり、今やありふれた病気と言われます。しかし、当人にとっては、とても「ありふれた病気」などと思うことはできないものです。がんと診断されたときの状況を「頭の中が真っ白になった」と表現する人は少なくありません。そのような衝撃の中で、インフォームド・コンセント(説明と同意)が進むのですが、「ほとんど耳に入ってこなかった」という声もよく聞きます。

 大切なことは、自分を見失った状態で治療の話を進めないことです。冷静になって状況を整理し、情報を収集して、いまいちど診断医の説明を聞いた上で総合的に判断してください。そのための手助けができるのが、がん患者・家族と同じ立場で相談支援にあたる「がんのピアサポーター」です。ミーネットは2008年7月に初めての養成講座を開催し、以後、ピアサポーターの養成を続けています。

相談支援拠点「ピアネット」を運営

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ピアネットで患者さんの相談を受けるピアサポーター(左)(2017年6月)

 ミーネットの活動の拠点である「名古屋市がん相談・情報サロン ピアネット」は、2009年に名古屋市が全国に先駆けて設置した、ピアサポートによる相談支援の施設です。名古屋市とミーネットが協働して取り組みを進め、今年で12年を迎えました。

 中区大須という名古屋の中心地に近い好アクセスや、患者さんやご家族の身近な相談役として気軽に利用できるという利点からか、年間延べ約3000人の利用があります。

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ピアネットで開催された前立腺がん患者会

 ピアネットでは、対面や電話での相談を始め、がんの種類別やテーマ別の患者会を週に1回開催しており、ピアサポーターのきめ細かい司会進行がとても好評です。

 また、治療の影響で脱毛した患者さんのための、ウィッグ助成制度などを名古屋市が行っていますが、その窓口としても機能しています。

 他にも、地域への出張講座や、社会保険労務士やキャリアコンサルタントと協力して、治療と仕事の両立を支援する相談対応も実施しています。私たちは患者さんと同じ立場できめ細かくサポートにあたっています。

コロナ禍、相談電話が引きも切らず

 2020年初頭からのコロナ禍で、会の活動には様々な影響がありました。

 初めての緊急事態宣言が昨年4月、全国に出されましたが、ピアサポーターによる対面での相談をピアネットでも医療機関でも中止しました。その後、何とか再開したものの、第2波、第3波の影響で、活動はたびたび中止を余儀なくされました。がん患者さんは、コロナに感染した場合、重症化するリスクが高いとされていますが、がんのピアサポートは、相談する人も相談を受ける人もがん体験者なのです。

 この期間、ピアネットには、相談の電話が引きも切らずかかってきました。コロナの不安が、がんの不安を増幅させたのでしょう。「コロナとがんで2倍の苦しみだ」「診察に行きたいけどコロナで病院へ行くのが怖い」「治療の予定が延びて心配だ」――などと訴える声もありました。

 ピアサポーターは、患者さんのお話をじっくりと伺いながら、どうすればよいのかを共に考えていくのですが、社会的不安の高い時こそ、相談支援の必要性が増すことを痛感しました。

「ピアサポートの灯を絶やさない」

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オンライン会議システムを利用し、患者さんの相談を受けるピアサポーター(2021年3月)

 コロナ対策として、社会全体にリモート化、オンライン化が進んでいます。

私たちの「がんを体験したピアサポーターによる相談支援」も、オンラインによる1対1の面談や、患者会の一部オンライン化を進めているところです。

 ただ、高齢の患者さんなど、オンラインが苦手な方を取り残さないような方法を考えることも重要です。そこで、あるピアサポーターの発案により、簡単にオンラインで参加できるタブレットを開発し、現在試行中です。将来的には、医療機関にこのタブレットを配置し、入院中の患者さんへのオンラインでのピアサポート実施を目指しています。

 何が起こるかわからない不安定な時代ですが、どんな時も、患者さんと同じ立場で寄り添うピアサポートの灯を絶やさないようにしたいと考えています。

NPO法人ミーネット

 2004年設立。がんの体験者を対象として、がん患者・家族と同じ立場で相談支援にあたる「がんのピアサポーター」を養成し、地域に根ざしたピアサポート活動に取り組む。09年、名古屋市と協働で「名古屋市がん相談・情報サロン ピアネット」の運営を開始した。ほぼ同時期に始まった、がん診療連携拠点病院内でのピアサポートは、21年3月現在、愛知県内の20の病院で定期的に実施している。一方、15年、愛知県の委託による電話相談「がんサポートほっとライン」も開始した。21年中に「オンライン相談支援技術を備えたピアサポーターの養成」を進める予定。

ホームページ  http://me-net.org/

 このコーナーでは、公益財団法人 正力厚生会が助成してきたがん患者団体の活動を、リレー形式でお伝えします。

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公益財団法人 正力厚生会

 正力厚生会は1943年(昭和18)に設立され、2009年に公益財団法人となりました。「がん医療フォーラム」の開催など、2006年度からは「がん患者とその家族への支援」に重点を置いた事業を続けています。
 現在は、医療機関への助成と、いずれも公募によるがん患者団体への助成(最大50万円)、読売日本交響楽団弦楽四重奏の病院コンサート(ハートフルコンサート)を、事業の3本柱としています。
 これからも、より質の高いがん患者支援事業を目指していきます。
 〒100-8055 東京都千代田区大手町1-7-1 読売新聞ビル29階
 (電話)03・3216・7122   (ファクス)03・3216・8676
  https://shourikikouseikai.or.jp/

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