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加齢とともに増えるシミ・しわは「日光角化症」かも…皮膚がんのリスク 若い時から紫外線予防を

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 年齢を重ねると顔などにシミやしわが増えます。それは、光を浴び続けて起こる「日光 角化かくか 症」かもしれません。自覚症状がほとんどなく、放置しがちですが、まれに皮膚がんに進行します。異変に気づいたら早めに皮膚科を受診することが大切です。(矢沢寛茂)

「日光角化症」皮膚がんに進行も…若い時から紫外線防ぐ

  70歳以上が大半

 太陽の紫外線を多く浴び続けると、深いしわや目立つシミができる「光老化」という影響が出ます。さらに紫外線が、皮膚の最も外側にある表皮の細胞のDNAを傷つけると、日光角化症を引き起こします。紫外線が当たりやすい顔や頭が多く、手の甲などにも発症します。

 農漁業に従事してきた人や、スポーツやレジャーなどで屋外に出る機会の多かった人がなりやすいです。ダメージが長年蓄積された70歳以上の患者が大半を占め、色白で日焼けしにくい人に多いです。

 国内では年間約10万人が発症すると推計されています。高齢化で今後、さらに増えると見込まれます。

 症状は、まれにかゆみやちくっとした痛みを感じる程度です。症状はゆっくり進みますが、放っておくと、一部が皮膚の深くまで入り込み、皮膚がんの一種「 有棘ゆうきょく 細胞がん」になる場合があります。このがんは、リンパ節や肺に転移して命に関わることもあります。

 見た目の特徴で多いのは、1センチ前後の赤いシミ「紅斑」です。表面に粉をふいたり、かさぶたができたりして、何個か同時にできることもあります。「色素沈着」は、やや淡い褐色のシミに似た状態で、多くの場合、まだらに広がります。イボが突き出したような状態の「皮角」や、表面が角化してイボ状になることもあります。

 顔や手にできたシミやイボが日光角化症かどうか、自分で分かりにくいかもしれませんが、赤みを帯びたシミ、表面がザラザラして境界がわかりにくいシミがあるか、出血を繰り返してジュクジュクし、かさぶた状になっているか、などをチェックしましょう。

  治療は塗り薬から

 皮膚科では、拡大鏡による検査「ダーモスコピー」で患部を観察します。日光角化症が疑われる場合、組織を切り取って、顕微鏡で調べて診断します。

 治療ではまず、イミキモドという塗り薬が使われます。2011年に公的医療保険の適用になりました。患部の免疫力を高める効果があると考えられています。週3回、就寝前に患部に塗り、起床後にせっけんで洗い流すことを繰り返します。4週間が目安です。効果が不十分ならば、さらに4週間続けます。

 周囲の組織に入り込む浸潤や再発を防ぐのに最も効果があるのが、患部を切除する手術です。70歳までに発症している人や、がんに進行する可能性がある場合などに検討します。

 液体窒素にひたした綿棒を患部に押しつけて死滅させる「凍結療法」や、患部に抗がん剤の 軟膏なんこう を塗り、ラップなどで覆う「密封包帯療法」もあります。

 大阪市立大教授の鶴田大輔さん(皮膚病態学)は、日光角化症の予防について「若いうちから紫外線を浴びすぎないことが大切です。日焼け止めクリームを活用し、帽子や長袖などで防ぎましょう」と話しています。

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