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女将「やっぱり酒ないと」、酒問屋に返品ビールの山…出口見えずため息

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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う3回目の緊急事態宣言が7日、今月末まで延長されることが決定した。東京都内では大型連休に合わせた「短期集中」策として打ち出されたはずの休業要請が続くことになり、関係者からは「出口が見えない」とため息が漏れた。

たる800本

女将「やっぱり酒ないと」、酒問屋に返品ビールの山…出口見えずため息

生ビールのたるが山積みになった酒類卸問屋「佐々木」の倉庫。左は佐々木実社長(7日、東京都新宿区で)=三浦邦彦撮影

 「製造から1か月も過ぎた生ビールは卸せない」

 首都圏にある飲食店約3000店と取引する酒類卸問屋「佐々木」(東京都新宿区)。佐々木実社長(66)は7日、複数の大手ビールメーカーに電話し、飲食店に卸すはずだった生ビールの返品を申し入れた。倉庫には、ビールの入った10~20リットルのたるが800本ほど山積みされている。3月上旬から4月中旬に製造されたが、出荷が6月にずれ込むと鮮度が保てないと諦めた。

 コロナ禍で売り上げは5~8割減った。飲食店で酒類の提供ができなくなった3回目の宣言下では、ノンアルコールビールの注文が10倍に増えたものの、全体の売り上げは6割減少した。約80人の従業員は一人も解雇していない。佐々木社長は「従業員の暮らしを守るのは私の責任。1年以上苦悩し続けているが、我慢はいつか報われるはず……」。そう声を絞り出した。

酒がないと……

 同社の取引先の一つである同区の和食料理店の 女将おかみ (56)は「やっぱりお酒がないと商売にならない」と肩を落とす。本マグロを使った創作和食が売りの同店では3回目の宣言中も、酒の提供をせずに営業を続けている。しかし、客足はさっぱり。夜の客は連日1、2組で、6日はゼロだった。宣言の延長について、女将は「みんな苦しいのはわかっているつもりだが、先が見えないのはつらい」と話した。

映画休業 劇場は緩和

 都内では大規模な商業施設や運動施設などへの休業要請が継続されることになった。

 宣言発令中の東京など4都府県で44のジムを休業しているセントラルスポーツ(東京)の担当者は「覚悟はしていたが、経営への打撃は大きい」と声を落とした。新年度が始まったばかりの4~5月は例年、新規会員が増える時期だが、休業の長期化で退会する会員が出てくることが懸念されるという。

 エンターテインメント界は劇場の規制が緩和される一方、映画館は休業の対象とされ、明暗が分かれた。

 浅草演芸ホール(台東区)など4軒の寄席は12日以降、条件付きで再開できる見通しとなった。各寄席は宣言発令当初、「寄席は社会生活の維持に必要なもの」として営業を続けていたが、都の要請を受け入れて5月1日から休館している。落語家らが所属する落語芸術協会の担当者は「再開できるのであればありがたい。問題提起の声をあげなければ今回のような着地にはならなかったのかもしれない」と話した。

 一方、映画監督の西原孝至さん(37)は「映画館でクラスターは報告されていないのに、劇場が営業できて映画館はダメというのはつじつまが合わない。休業を求めるにしても、十分な補償がなければ、映画関係者は安心して休業できない」と訴えた。

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