スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やす
医療・健康・介護のコラム
スポーツで首を強打。後遺症のリスクを減らすため、周囲が心がける対処法とは
それでは、Kさんの状況と経過です。
倒れた直後に集まってきたスタッフにより、MILSが行われ、頚椎カラーを装着したのち、リフト&スライド法で担架に乗せ、フィールド外に出しました。すぐに、到着した救急隊に引き継ぎました。Kさんは搬送先の病院で単純X線、CT、MRI検査を受けました。その結果、一過性四肢麻痺の診断で、麻痺症状が残ることはありませんでした。けがをした直後に、スタッフが適切な処置をしたことも、症状の悪化を招かずにすんだファインプレーだったと言えます。
今回は後遺症が残らなかったケースでしたが、不幸にも麻痺などが残ってしまうケースもあります。正しい知識を身につけ、適切なトレーニングを受けておかないと、いざ現場で行うとなると、担架に乗せる作業だけでもうまくいかないことがあります。けがのリスクが高いスポーツでは、競技団体としてメディカル対応できるシステムを整備しておく必要があります。また、メディカルの専門家でなくても、適切な対応ができる人が一人でも多く現場にいることが望まれます。(大関信武 整形外科医)
【スポーツ医学検定のご案内】
私たちは、スポーツに関わる人に身体やけがについての正しい知識を広めて、スポーツによるけがを減らすため、「スポーツ医学検定」を実施しています。スポーツ選手のみでなく、指導者や保護者の方も受けてみませんか(誰でも受検できます)。
第10回スポーツ医学検定は2021年11月28日(日曜)に開催予定です。申し込みは スポーツ医学検定HP にて行う予定です。
本文のイラストや写真の一部は、「スポーツ医学検定公式テキスト」(東洋館出版社)より引用しています。スポーツに関わる様々な人からスポーツのけがに対する考えを掘り起こし、多様な視点でスポーツ医学や安全について考える note もぜひご覧ください。
2 / 2
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。